慣れないマンション
借家のマンションに帰る途中、コンクリート塀に凭れ掛かるアリサの姿を発見する。
「あれ、アリサの家ってこっちなの?」
「はい、本部が用意してくれたマンションに住んでます」
こっちの方向に本部のマンションは一つしかない、俺の住んでいるマンションだ。
「奇遇だね、俺もそのマンションの住民なんだよ」
「そうなんですか!?ご近所さんってやつですか!?」
「に、なるねー」
仕事の行き帰りは1人で心細かったので、アリサと一緒に通勤できると考えると心が躍る。
「あの…私独り暮らしで心細いので時々遊びに来てください、305号室が私の部屋です。お茶くらいは出せるので…」
「おう、わかった。まあゆっくりしてる時にあそびに行くよ、これから妹の朝ご飯作ってやらなきゃいけないからさ」
「妹さんと暮らしてるんですね、わかりました。お疲れ様です」
「おう、お疲れ様」
思わぬイベント発生で若干テンションが上昇。
そしてまだ慣れないマンションのエレベーターのボタンを押す。
部屋に着くと中は静かだ。
彩香はまだ起きてないらしい。
ささっと簡単な料理の支度をしていると、彩香のケータイのアラームらしき音が聞こえてきた。
よく考えると彩香のケータイのアラームをまともに聞くのは初めてかもしれない。
そうこう考えてる内に彩香が起きてきた。
第一声は「ふぇ…お兄ちゃんだ、おはよう」
寝ぼけてるのか、半目開きで俺を見ている。
「おはよう彩香、ご飯はもうちょっと待ってな」
彩香は「うん、ありがとう」と言うと目を擦って洗面台へと向かった。




