弾幕の中の死闘
「本命が来たぞ!弾幕展開ィ!」
月の明かりの下、怒号にも似た叫び声が響く。
刹那、連射式のマシンガンの弾幕が展開される。
弾幕はゾンビの群れを一瞬で掃除し、殺芽の動きを封殺する様に射出され続ける。
「へぇ、俺の動きを封ずる弾幕か…考えたな」
殺芽はそう言うと、弾丸の嵐を掻い潜りながら弾幕が薄くなる遠方に姿を隠す。
「逃すな!照明弾!」
合わせて照明弾が射出され、人工の太陽が周囲を照らす。
「チッ、隠れさせてもくれない訳か」
殺芽は分が悪そうに溜息を吐く。
「すごい…これが本部の攻撃…」
「まだまだ、本番は俺たちも混ざってからだぜ」
場末もマシンガンを構える。
そして斬咲は、弾幕を避けながら徐々に殺芽との距離を詰める。
「おっとアニキもいるんだったな、だがそれだけか?」
一陣の風の如く一瞬で距離を詰めた斬咲のナイフを躱し、ナイフを持つ斬咲の左腕を殺芽が掴んで静止した。
その殺芽の手首を一発の弾丸が貫いた。
スナイパーのアリサだ。
「…っっ!」
殺芽の右手首から先は欠損し、殺芽は弾幕を躱しつつ咄嗟に飛び退く。
「やってくれたな…ッ!」
殺芽は先端を失った右腕を引き、左脚で地面を蹴り付け跳躍し、空中で器用に体をうねらせ弾幕を躱しながらアリサに飛び掛かる。
アリサは二射目を放つが、軽々回避された。
「弾丸なんてなぁ、初手の不意打ちでもなけりゃ当たらないんだよッ!」
そう叫ぶと立ち撃ちしているアリサの目の前に着地し、アリサのライフルを蹴り上げる。
無論、弾幕を避けながらだ。
俺も何かしなくては…
しかし弾幕を軽々しく回避し、読心術まで持ってる相手にピストル一丁で何が出来ようか。
いや、待てよ。
「初手の不意打ちで無ければ当たらない」
言い換えれば「初手の不意打ちなら当たる可能性がある」と云う事だ。
そして、読心術が斬咲と同じく、対象が視界に映るものに限られるならーー。
勝算は解らないが、いける!




