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令和女流歌人・花村美咲の和歌日記365日 ~三十歳、独身、会社員。笑って、怒って、恋をして。今日も五・七・五・七・七~  作者: さざ波和音


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第九章 『海を越える、日々のうた』完成

 年が明ける少し前。


 ついに、夫婦合作短歌集が完成した。


 タイトルは、

『海を越える、日々のうた』


 表紙には、青い海と小さな花が描かれている。


 中には、美咲と悠人の夫婦短歌、彩香の自然の歌、千春さんの人生の歌、そして仲間たちの日常の言葉が収められた。


 日本語の短歌に加え、英語訳と短い解説も掲載した。


 翻訳は、五七五七七の音数を無理に再現するのではなく、歌の景色や感情を大切にした。


 完成した本を手に取った悠人は、何度も表紙を眺めた。


「本当にできたんだな」


「うん。みんなのおかげだね」


 真理は編集後記を書き、田中さんはオンラインで紹介するページを作った。


 彩香は町の風景写真を提供した。


 千春さんは、若い頃からの夢を込めた作品を寄せた。


 そして美咲は、巻頭に短い言葉を添えた。


「短歌は、特別な人だけが作るものではありません。毎日の暮らしの中で感じたことを、ほんの少し言葉にしてみる。それだけで、誰かとつながる小さな橋になるのだと思います。」


 本は小さな出版社を通じて頒布され、海外の日本文化交流団体にも届けられることになった。


 大きなニュースになるわけではない。


 何万部も売れるわけでもない。


 けれど、確かに一冊の本が、誰かの手に渡っていく。


 美咲はそれだけで十分に幸せだった。


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