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令和女流歌人・花村美咲の和歌日記365日 ~三十歳、独身、会社員。笑って、怒って、恋をして。今日も五・七・五・七・七~  作者: さざ波和音


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第八章 千春さん、再び夢を描く

 冬の初め。


 千春さんから美咲に連絡があった。


「海外の短歌交流会に参加することにしたの」


 美咲は驚いた。


「本当ですか?」


「ええ。オンラインだけれど、海外の人たちと短歌について話すのよ」


 千春さんは、昔から書きためていた短歌を選び直していた。


 その中には、若い頃に海外への憧れを詠んだ歌もあった。


 異国語の

 響きを胸に

 聞きながら

 海の向こうへ

 歌を送りたし


 千春さんは言った。


「昔は、夢をかなえるには遠くへ行かなければいけないと思っていた。でも今は、ここにいても、言葉を通じて世界とつながれる」


 美咲は微笑んだ。


「千春さんの歌も、きっと届きます」


 交流会当日。


 千春さんは画面の向こうの参加者に、自分の短歌を朗読した。


 少し緊張していたけれど、声はとても穏やかだった。


 参加者から拍手が送られた。


 一人の若い参加者が言った。


「あなたの歌には、長い時間を生きてきた人の優しさを感じます」


 千春さんは目を細めた。


「ありがとう。私も、あなたの言葉から新しい景色を見せてもらいました」


 美咲は画面の前で、そっと拍手をした。


 夢は年齢で終わらない。


 引き出しにしまった夢も、誰かとの出会いで再び動き出す。


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