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令和女流歌人・花村美咲の和歌日記365日 ~三十歳、独身、会社員。笑って、怒って、恋をして。今日も五・七・五・七・七~  作者: さざ波和音


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第六章 真理の編集会議

 秋が近づいた頃、真理から連絡があった。


「美咲、ちょっと相談があるんだけど」


 真理は転職後、企画や編集に関わる仕事をしていた。


 美咲たちの夫婦短歌集の話を聞き、編集面で協力してくれることになったのだ。


 週末、四人でオンライン会議を開いた。


 美咲、悠人、真理、そして彩香。


 田中さんもSNS運営の相談役として参加した。


「まず、短歌集の方向性を決めましょう」


 真理は画面に企画案を映した。


 タイトル案は三つ。


 - 『ふたりで五七五七七』

 - 『月曜日にも花は咲く』

 - 『海を越える、日々のうた』


 悠人は即答した。


「三番!」


 美咲も頷いた。


「私も三番が好き」


 真理は笑った。


「じゃあ、これで進めましょう」


 田中さんが続けた。


「海外の人にも読んでもらうなら、日本語の原文と翻訳を並べるのがいいと思います。音数の説明も添えて」


 彩香は言った。


「地方の暮らしの写真も入れたいな。山や川の景色を見てもらいたい」


 真理がメモを取る。


「千春さんにも参加してもらいましょう。若い頃からの作品も、ぜひ載せたいですね」


 美咲は胸がいっぱいになった。


 これは、もう自分一人の夢ではなかった。


 それぞれの人生が、それぞれの場所から集まって、一冊の本になろうとしている。


 悠人が最後に言った。


「ところで、印刷費はどうする?」


 一瞬、会議が静かになった。


 真理が笑った。


「そこが一番大事な現実です」


 美咲は大きくうなずいた。


「夢も大切だけど、家計も大切!」


 悠人は小さく手を挙げた。


「僕の小遣いから少し出します」


「本当?」


「うん。ただし、来月の飲み会は減らす」


 美咲は笑った。


「その決意、短歌にしておきます」


 夢を追う

 仲間が増えて

 本ができる

 予算の欄に

 現実が立つ


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