第四章 彩香の町へ、旅に出る
十月 久しぶりの再会
秋。
美咲と悠人は、地方に移住した友人・彩香の暮らす町を訪ねた。
駅に着くと、彩香が笑顔で迎えてくれた。
「久しぶり!」
町には、澄んだ空気が流れていた。
遠くには山並み。
道端には秋の草花。
小さな商店街には、地元の人たちの声が響いていた。
彩香の家は、古い一軒家を改装した住まいだった。
縁側には椅子が二つ。
庭には小さな畑。
「ここで暮らすようになって、時間の流れが変わったよ」
美咲は、縁側に座って深呼吸した。
旅先の歌
山の風
胸いっぱいに
吸い込めば
忘れた私が
帰ってくる
十一月 都会と地方、それぞれの幸せ
彩香は地元のカフェで働きながら、オンラインの仕事もしていた。
「不便なこともあるよ。買い物も車が必要だし、都会ほど選択肢は多くない」
「でも、楽しそうだね」
「うん。自分で選んだ暮らしだから」
美咲は、自分たちの生活について考えた。
東京には仕事も友人もある。
便利で刺激的な暮らしが好きだ。
一方で、自然の近くでゆっくり暮らすことにも憧れる。
「私たちも、いつか二拠点生活なんてできるかな」
悠人は笑った。
「まずは家計と相談だね」
それぞれの歌
都会には
都会の空が
広がって
山には山の
星が降り積む
帰り際、彩香が小さな手作りジャムをくれた。
「また遊びに来てね」
「今度はもっとゆっくり来るよ」
十一月末 帰りの電車
帰りの電車で、美咲は窓の外を眺めていた。
旅の思い出が、頭の中を流れていく。
「美咲、何か書いてる?」
悠人が尋ねた。
「うん。今日の歌」
帰り道の歌
旅終えて
帰る場所にも
灯がともる
遠くを知れば
我が家も愛しい




