24/50
令和女流歌人・花村美咲の和歌日記 第五巻『三十四歳、美咲の小さな挑戦』 ~会社員歌人、人生の第二ステージへ~
序章 三十四歳、好きなことを真ん中に
一月一日。
花村美咲、三十四歳。
新年の朝、彼女はいつものように日記を開いた。
昨年、三十三歳の美咲は、仕事と家庭の暮らしを整えながら、昔好きだった短歌を再び書き始めた。
最初は、誰にも見せない小さな遊びだった。
通勤電車で思いついた言葉。
スーパーで見かけた半額シール。
夫の悠人が洗濯物を裏返しのまま干した事件。
そんな何気ない日常を、五七五七七の言葉にして投稿していた。
すると、少しずつ感想が届くようになった。
「私も同じ気持ちです」
「朝の通勤風景が目に浮かびました」
「最後の一行で笑ってしまいました」
美咲は、自分の言葉が誰かの心に届くことを知った。
今年の目標は、短歌をもっと書くこと。
そして、いつか自分の歌集を作ること。
悠人が起きてきた。
「今年は何を頑張るの?」
「短歌!」
「いいね。僕も何か始めようかな」
「何を?」
「料理のレパートリーを増やす」
「それは大歓迎です」
「あと、食器洗いの技術向上」
「それは必須です」
元日の歌
新しい
年の目標
書き込んで
夫の目標
皿洗い二級




