第六章 幸せは再設計できる
大晦日 今年の答え合わせ
大晦日。
美咲は、今年のノートを開いた。
一月に書いた目標を読み返す。
仕事では、自分の得意分野を見つける。
家では、夫婦で協力する。
お金は、無理せず貯める。
趣味を大切にする。
毎日を笑って過ごす。
すべてが完璧にできたわけではない。
住宅購入はまだ決まっていない。
仕事は忙しい日も多かった。
家事の分担も、まだ改善の余地がある。
貯金も、思ったほど増えていない。
けれど、美咲は気づいた。
大切なのは、計画通りに進むことだけではない。
自分たちに合った暮らしを考え直すこと。
うまくいかないときに、話し合うこと。
小さな夢を諦めずに育てること。
それが、幸せの再設計なのだ。
悠人が年越しそばを運んできた。
「美咲、今年もありがとう」
「こちらこそ。来年もよろしくね」
「来年の目標は?」
美咲は笑った。
「短歌をもっと書くこと。旅行すること。それから……」
「それから?」
「あなたが洗ったお皿を、安心して食器棚にしまえるようになること」
悠人は苦笑した。
「まだ修行が必要だね」
「はい。来年も頑張りましょう」
三十三歳、最後の歌
幸せは
設計図よりも
日々の中
二人で描く
暮らしのかたち
美咲はノートを閉じた。
窓の外には、静かな冬の夜。
遠くから除夜の鐘が聞こえてくる。
三十三歳。
夢はまだ途中。
人生もまだ途中。
でも、もう焦らない。
自分の人生を、自分の言葉で詠んでいこう。
第四巻・完




