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令和女流歌人・花村美咲の和歌日記365日 ~三十歳、独身、会社員。笑って、怒って、恋をして。今日も五・七・五・七・七~  作者: さざ波和音


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第三章 悠人、家事の最終試験

 八月 夫の休日料理


 悠人が突然、宣言した。


「今日は僕が夕食を全部作る!」


 美咲は驚いた。


「本当に?」


「任せて!」


 悠人は買い物に出かけた。


 帰ってきた袋には、野菜、肉、魚、調味料、そしてなぜか大量の卵が入っていた。


「卵、何個買ったの?」


「安かったから」


「何人家族だと思ってるの?」


「二人」


「では、卵料理の祭典ですね」


 その夜、食卓には卵焼き、オムレツ、ゆで卵、卵スープが並んだ。


 美咲は笑った。


「おいしいよ。ありがとう」


 卵の歌


 安売りの

 卵が並ぶ

 食卓に

 夫の愛情

 黄身までたっぷり


 九月 食器洗い完全制覇への道


 悠人の次の課題は食器洗い。


 洗剤の量。

 スポンジの使い分け。

 油汚れの落とし方。

 水切りかごの整理。


 美咲は見守った。


 ところが、悠人は洗った食器をすべて水切りかごに積み上げた。


「ちょっと待って。崩れそう」


「大丈夫。バランスを考えた」


「食器洗いに建築技術を持ち込まないで」


 その瞬間、皿が一枚、ゆっくり傾いた。


 二人は同時に手を伸ばした。


 間一髪で救出。


 食器洗いの歌


 皿一枚

 積み上げすぎて

 塔となる

 夫の家事には

 耐震基準


 それでも、悠人は確実に成長していた。


 今では、言われなくても食器を洗う日が増えた。


 美咲は心の中で、夫に合格点をあげた。


 ただし、まだ満点ではない。


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