第35話 忘れ物
「…あ、ちょっと忘れ物したかも。サッと取ってくるからちょっと待ってて〜」
おもむろに葵が声を出すと、返事も聞かずに走って行ってしまう。
「この広い中でそんなすぐ見つかるわけないだろ…」
忘れた場所を覚えていたとしてもこの広い敷地時間はかかるだろうと呆れる泰祐。
「まあ、そこにベンチもあるし、座って待ってない?」
目ざとくベンチを見つけた百桃が2人に座るよう促す。
「…そうですね。そうしましょうか」
少し考え事をしながらそう返事をしたシレネは、ベンチに向かいつつも、その足取りは重かった。
「どうしたの?シレネ」
心配になった百桃がシレネに声をかける。
「いえ、どうも違和感が…」
葵がそんな失敗をするだろうか。忘れ物は小学校の頃そこそこしていた記憶はあるものの、こういうときの忘れ物はしないとも思っている。実際昼食が終わったときには2、3度テーブルやテーブル下、椅子を何度も見て忘れ物がないか確認していた。
「ちょっと追いかけてみます」
そう言って葵が消えて行った方向に駆け出そうとしたところ
「まあまあ、なにかあるんだったらちゃんと考えてるだろうし?本当に忘れ物かもしれないよ?それに今迷子になっても探すのに時間がかかるよ?ほら、人も多くなってきたし」
実際このデパートの人通は少し増えてきていた。夕ご飯には少し早いものの、席取りや運動をしてお腹が減った者、夕ご飯前に少しお店を回りたい人などが集まり始めていたのだ。
「…そうですね、そうします」
そう言ってシレネはベンチに腰をおろして葵を待つのだった。
「あ、戻ってきた」
「お待たせ。遅くなってごめんね、帰ろっか」
葵が帰ってきたことを見つけた百桃が声をかけてそれに葵が応える。
「忘れ物は見つかりましたか?」
そのことに気になっていたシレネが葵にそう問いかける。
「ああ、ちゃんと見つかったよ。ゲームセンターの座ってたとこに置き忘れててね」
そう言ってリュックの中から水筒を見せた葵はすぐにしまう。
「見つかってよかったね〜、それじゃ行こっか」
「お、帰るか?じゃあ行くか」
そう言って4人は今度こそ帰路についたのだった。
少し短め。これで4人でのゴールデンウィークはおわりです。しかしゴールデンウィークは始まったばかりです。まだまだ続きますよ〜。一旦来年の半ばまで続けたいですね。




