第27話 間接キス
「あ、2人とも来たみたいだな」
泰祐と百桃に気づいた葵はゆるく手を振って自分たちの場所に誘導する。
「間に合ってよかったです。金久保さんがこっちっで佐久間くんはあっちです」
無事辿り着いた2人の席を教えるシレネ。
「…ありがと、シレネ」
「…ありがとな」
歯切れ悪く感謝を述べる2人に不思議に思うシレネと葵は、それでもその疑問を心の中にしまう。
「あと5分くらいで始まりますが、何かいいもの買えましたか?」
隣に座った百桃にそんなことを聞くシレネ。
「まあ見たらわかるけど…ポップコーンとドリンク、あとチュロスだね。2人は買わなくてよかったの?」
シレネからの質問に答えてからそんな小さな疑問を2人にぶつける百桃。
「私たちは事前に持ってきていますから大丈夫ですよ。ほら」
そう言って肘掛けの先を指すシレネ。
「じゃあいいんだけど…」
そう言って話を切り上げた百桃は今度は泰祐と話す。そんな百桃を見ながらシレネはふと葵の方を向く。
葵は正面を見たままぼーっとしていた。
ーーー上映中ーーー
「食べ過ぎよ、泰祐。このままじゃなくなっちゃうわよ」
「…じゃあそっちも手を止めたら?」
「…わかったわよ…」
時間を見ていない2人は、けれどまだ続くだろう映画と半分ほどに減ったポップコーンを見ながら会話する。
「そのチュロス食べてみてもいいか?」
こちらも半分ほどに減ったチュロスを見ながら言う泰祐。
「いいけど、あまり食べすぎないでよね、無くなっちゃうから」
そう言ってチュロスを渡す百桃。
「ありがと、百桃」
感謝を述べながら受け取る泰祐。それを見たシレネは
{間接キス…}
そんなことを気にしてしまうと、映画に集中できなくなってしまうのだった。葵は映画に集中していて気づかないのであった。
今度は短め。
場所によっては持ち込み禁止のところもあるのでお気をつけてください。




