第19話 すばしっこい
ーーー学校終わりの帰宅時ーーー
帰り道、爛々と話す泰祐と百桃。
「今日の体育のドッヂボール、もうちょいだったんだけどなぁ〜」
引き分けに終わった体育のドッヂボール。もとい交流会で勝てなかったことを悔いている泰祐。
「最後のボール、葵に避けられて終わっちゃったからね」
最後泰祐がブザービーターのようなものを決めようとして投げたボールは、しかし葵に避けられてしまったのだった。
「葵狙わなければよかったぁ…」
後悔の声を上げる泰祐。
「昔っからすばしっこいからね、鬼ごっことかはじめの方で捕まってるとこ見たことないし」
小学生の頃、レクや体育の授業で鬼ごっこなど、すばしこさが求められるものは得意だったと思い出す百桃。
「だよなぁ…あぁ…まあ、引き分けでよかったと考えりゃいいかなぁ。でも勝ちたかったなぁ」
{勝ってバチっと決めたかったなぁ}と思っていた泰祐は、百桃に良く見てもらいたかったという思いもある。
「まあまあ、いいんじゃない?楽しかったし…ね?」
{カッコよかったし}と百桃的には満足な時間だった。
「あぁ、そうだな、楽しかったし…いっか」
しかしそれでも煮え切らない思いのある泰祐は、少し気を落としながらも返事を返す。
すると
その高い背に後ろから抱きついてきた百桃が
「…んもぅ、元気出してよ。いいじゃん、楽しかったんだし、だし!」
と慰め、泰祐は少し驚きながらも
「そうだな、終わったことだし、楽しかったし!」
ニコニコの笑顔へと変わった泰祐は、百桃をそのままに、帰路に着くのだった。
「……ちょっと!腕疲れてきたんだけど!降りたいんだけど!」
ずっと泰祐にぶら下がって足をぶらぶらさせていたままの百桃は、少しすると疲れて降りたくなった。
しかしそうはしない泰祐だった。
「じゃあ…よ、っと…これでいいか?」
ぶら下がったままだった百桃の膝裏を抱えて、おんぶする。
「わっ、ちょっ…〔ま、いいか〕じゃあそのまま家までご〜!」
途端にご機嫌になった百桃は、それはそれはニッコニコの笑顔にして泰祐へそう言う。
「よし!じゃあせっかくだし飛ばすか!」
「いぇーい!レッツぅ、「ゴー!」」
ちょっと短め。
「ご機嫌になる」は「照れ隠し」とも言う。罪な男です。




