2 最初の三年間①
それからの三年間を、ライガルドを成長させるために必要な素材の収集に励んだ。
必要な素材、それは「雷晶石」と「嵐核」。「雷晶石」は険しい山脈の奥地にしか存在せず、「嵐核」は強力な魔物の体内にしか宿らない。どちらも、命がけで取りに行くほかなかった。
アイリスはそれを、ほぼ一人でやった。
契約精霊であるライガルドも一緒に戦う。ただし、自分が認めた敵とだけ。アイリスが「一緒に来てほしい」と頼んでも、気が向かなければ動かなかった。
『その程度の敵に、俺を使うな』
そう言って、あとは黙った。アイリスも何も言わなかった。高位精霊とはそういうものだと、どこかで納得していたからだ。
傷を負って帰る夜が何度もあった。右腕が使えなくなった時期があった。魔域の奥で一晩立往生したこともあった。そういうとき、ライガルドは学院にいた。
決まって、シェリルのいる場所に。
最初にそれを教えてくれたのは、同室の友人、マリアだった。二年目の春のことだった。
「ねえアイリス、聞いていい? 変なこと聞くかもしれないけど……」
マリアは言いにくそうに目を伏せた。
「ライガルドって、アイリスの精霊よね。……なんであんなにシェリルのところにいるの? 昨日も夜遅くまでシェリルの部屋の窓の外にいたって、同じ棟の子が言ってて」
アイリスは少し間を置いてから、「そう」とだけ答えた。
「精霊と契約者の相性って、難しいのよ」
それで話を終わらせた。マリアはそれ以上何も言わなかった。




