第54話 第一部完! 希望の未来へレディゴー!
楠江との決着がつき、ようやく日常が戻ってきた。
三連休もこれで終わり。
帰省していた千影も寮に帰るときが来た、のだが……
「やだ。私、しばらく、学校休む……」
「おいおい、そんなわけにはいかないだろ。
学校休んだりしたら、
父さんや義母さんも心配するぞ?」
「だって……この状況って、
お兄にとっては酒池肉林じゃんッッッ!」
酒池肉林って。
主良の住む、
自宅マンションにて――
主良の隣にいる精霊二人を、千影を指さした。
「アナエルさんだけじゃなく、鹿の子さんまで増えて、一つ屋根の下で美少女精霊と三人暮らし、なんて……私が監視してなかったら、絶対にお兄が手を出しちゃうし。あっという間に実用性重視の抜きゲー路線に走って、リリースされる頃にはFANZA版になるもん……っ!」
「肯定します。もはや止まりません、切札は」
「フフフ、ボクも否めないですね!」
「肯定するな。否めてくれ。
あと、何処にリリースされんだよ」
というか、千影だってまだ未成年のはず。
「抜きゲー、だとかFANZAだとかって……お前、本当にそういうのに手を出してるんじゃないだろうな……?」
「ふぇっ……。
ややややだなぁ、あくまで想像の範疇だよぉ」
「内心の自由は脅かせないか」
事態のなりゆきを見守っていた蝉人間――
シケイダがおずおずと手をあげた。
「某に、お任せくだされ、お嬢様」
「585だな……」
「兄者殿――多少の字余りは見逃していただきたいっ!」
「ほぼ毎回だし、もうこだわらなくていいんじゃないか?
無理に575にしなくても」
ふむ、とシケイダはうなずく。
「それもそうですな。で、某から提案なのですが――まず、アナエルとナラクについては、ひとまずは千影お嬢様のお部屋を使ってもらうとして」
「ええっ、ボクがアナエルと同室ですかぁ!?」
「鹿の子のルームメイトになるのですね、切札が。
とても楽しそうです。
……鹿の子は嫌、でしょうか?」
「うーっ。そう言われると、断りづらいじゃないですか。
別に……嫌なんかじゃないですよっ」
実際、ここ数日のところ――
アナエルや鹿の子は、千影の部屋に泊まっていた。
それを継続すると考えればいいか。
ちょっと待って、と千影が口を挟む。
「アナエルさんと鹿の子さんが私の部屋を使うのは、別に構わないけど……うん、見られて困るようなものは、とっくに寮に引き上げ済みだし……それでも、私の部屋を抜け出して、お兄のところに入るのは咎められないでしょ?」
「ご安心くだされ、お嬢様。要はお嬢様の目が行き届いていればいい――それなら、お嬢様の寮の部屋と、この家を繋げてしまえばよろしいのです」
「何それっ!? そんなこと出来るの、シケイダ?」
「多少、大工事にはなりますが。
セイレン・パブケイブの歌魔法の中でも、
某の術式は”空間の循環”に特化しております。
ようやく、お嬢様の力になれる好機。
泥船に乗ったつもりで、お任せしていいですぞ」
「にへへ。たまには、頼りになるじゃん……。っていうか、寮からここにワープできるなら、これからは都内の大会行き放題になるし……最高かも。じゃあ、シケイダ。工事が終わるまで、しっかりとお兄を監視しててね……っ!」
「御意」
なんだか、変な話になってきたが。
――千影といつでも会えると思ったら、それもいいな。
アナエルは凛とした表情で主良に語りかける。
「マスター。次の週末こそは、世に問いましょう。
切札とマスターの、デッキの真価を」
「ああ……俺たちの、稽古編のスタートだな」
自然な流れで新章、突入――
となっていたところで、鹿の子が呟く。
「……あれ?
じゃあ、シケイダはどこに泊まるんですか?」
第一部、完結です!
以降は不定期更新で、ゆるーい日常がたまに更新される……かも!?
レビュー・評価いただけると励みになりますので、よろしくお願いします!




