第21話 勝負だショウブ!
俺は高校生カードゲーマー、
黒羽主良。
同い年で義理の妹の千影と
温泉に遊びに行って、
カードの精霊アナエルの
怪しげな黒幕発言を目撃した。
アナエルを疑うのに夢中になっていた俺は、
背後から近づくもう一人の精霊に気づかなかった。
俺はその精霊にループコンボを決められ、
目が覚めたら――
デッキが完成していた!
「そういうわけで、勝負だ。
シケイダ!」
執事らしい正装に身を包んだ蝉頭の怪人――
シケイダ・マール575はフォフォフォと笑う。
「これまでの、(5)
あらすじ解説、(8)
感謝です……(5)」
「また585じゃねえか」
主良はデッキを取り出した。
その様子を見て、千影が困惑する。
「お兄、勝負って……!?」
「――シケイダが決闘天然温泉・死刑打流布におけるデッキ調整タイムを、無限ループさせてたのは……千影の願いのためだった。スピリットキャスターズNEXTについては、千影はガチガチの競技勢。現代スピキャスの厳しさを知る千影は……不安だったんだろ? 俺とアナエルが自信満々に組んだデッキが、実戦でボコボコにされるんじゃないかって……」
「……うん。紙束になると思ってた」
その不安は間違ってない。
アナエルだって怖かっただったろうし――
俺だって、そうだ。
「だからこそ、デッキ調整タイムをループさせていた。
何度やっても、何度やっても、
勝てないということを教えるために。
ループの目的は、
俺たちを諦めさせるために……」
「そう、なのかも……。
ループの記憶は、私にはないけど。
あんなに楽しそうだった、お兄や、
アナエルさんが……
全然勝てないとわかって、
嫌な思いするの、嫌だった、から……」
アナエルは千影の手を取り、指を絡めた。
「否定します。
それだけではありません、
ちーがループさせていた理由は」
「アナエルさん……?」
「楽しかったから、です。
ループの最中、切札は何度も見ていました。
マスターと、ちーが、楽しそうに……
楽しそうに、カードで遊ぶ姿を。
自分の手でデッキを生み出す。
可能性を追求する。
その時間はかけがえのなく、
きっと、楽しかったからだと――
切札は推測します。
ちーがループさせていたのは」
そうなのかもしれない。
カードゲームのデッキを組むのは楽しい。
デッキパーツごとにシナジーを計算して。
カードタイプのバランス、エナジー枚数を調整して。
コストカーブ通りに動けるように、
何度も空回しして初手を引き直してみたりして。
それが現実に衝突するまでの、
わずかな時間だとしても――
組んでいる最中のデッキは、夢の中では無敵だ。
「デッキを組んでる時間が、一番楽しい……
なんて言う人もいるよな。
だから千影は、この時間を繰り返していたのかも」
うっ――と、千影が頭をおさえる。
「あ痛たたたたたたっ……!」
「おい、大丈夫か!?」
「んっ……大丈夫。ちょっと、思い出しただけ。これまでの、ループの記憶。よく覚えてないけど……私も、ずっと繰り返してたんだね。お兄と……もっと、遊びたかったから」
それなら、ループなんてするまでもない。
「遊べるよ。これから、いくらでも。
千影と一緒に。
俺だって……アナエルを握ってるんだからさ」
リミテッド・ワンになったとしても――
アナエルのデッキは立派にやれる。
最強のデッキとまでは言わないが、
勝負が成立するデッキにはなっている。
そのことを証明するための、勝負ってわけだ。
相手は次期覇権候補【シケイダループ】。
「勝負だ――シケイダ!」
蝉頭の怪人は、懐からデッキを取り出す。
「無謀なり。
蟷螂の斧、哀れかな」




