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第79話 悪魔のような神デュラン

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「〝あれれ〟?」

 エルフィナが呟いた。

「何か知っておるのか?」

 創造神が眉をひそめる。

「ごめんなさい創造神様(おとうさま)……」

 エルフィナが、気まずそうに視線を逸らす。

「ザルサールって神……消しちゃったかも……」

「何じゃと!?」

 創造神の声が跳ね上がる。

「それはいつじゃ!?何があった!?」

「えっと……この前、王城でその魔道具を見ました。

 発動してたから……

 多分、それを使ってたのがザルサールで……」

「いや、それはない」

 創造神が即座に否定する。

「奴は、わしがエルフィナの世界に貼った結界で、

 入れんはずじゃ」

「え?」

「聖魔力が漏れ出したエルフィナを、

 隠す為に貼った結界なんじゃが、

 偶然、他の世界の神々が、

 入れないような効果もあってな……

 奴が王城に現れる事はないのじゃ」

「私が覚醒したのを隠す為にそんな事を……

 私の魔力を通さないのですね?……あれれ?」

「又〝あれれ〟?」

 嫌な予感しかしない。

「今度はなんじゃ?」

「その結界……」

 エルフィナが指をツンツン合わせる。

「私、壊しちゃったかも?」

「何じゃと?ちょっと待て…………

 無い!結界が無くなっておる……何をしたのじゃ?」

「白夜の謎……です……」

 遠い目。

「なんじゃ?それは?」

「魔法が全く制御出来なかった頃……

 突然飛んできたGにパニクリ、

 無意識に、夜空に最大級の炎系攻撃魔法を打ってました。

 大爆発を起こして、朝まで空の光が消えませんでしたが……

 あれはもしかしたら……

 私の魔法が結界に、ぶつかって爆発したのかも……」

「その爆発で、わしの結界を破壊したと?」

 創造神、静かに天を仰ぐ。

「はい、申し訳ありません……」

「いや良いのだ。

 結界の存在を知らなかったんじゃから謝る必要はない。

 となると、やはりエルフィナを襲ったのはザルサール……」

 目が細くなる。

「申し訳ありません」

「何故謝る?」

「あの神もお父様の……」

「襲われたんじゃろ?奴の自業自得じゃよ」

 そして、笑う。

「それにしても簡単に消し去られるとは……

 愉快愉快……」

 だが、その目は鋭い。

「奴がいなくなったとしても、安心はできんぞ?

 まだ戦いは終わっておらん……

 12の世界には、まだまだお前を……

 エルフローラの能力に疑懼(ぎく)の念を抱いている神々が、

 まだまだ沢山残っておる筈じゃからな……」

「それなんですが……」

 アストラルが口を開く。

「何か気掛かりなことでも?」

「先ほど言いましたザルサールの腹心デュランですが……

 魔力量はエルフローラに匹敵すると言われていました」

「何じゃと?」

 創造神が目を見開く。

「そんなやつがいたのか?初耳じゃぞ?」

「奴はあまり表には出ませんでしたからね。

 ザルサールを裏で操っているんじゃないかと噂されていました」

「兄様。それはどんな者ですか?」

「肌は不健康そうな蒼白。長い髪は白髪。

 目つきの悪い陰湿そうな奴だよ」

「「それだ!」」

「どうした2人揃って?」

「エルフローラに呪いをかけていたのが、そんな男でした」

「王城で魔道具を仕掛けてきた時、

 ずっと見ていた男がそんな感じだったと。

 気配を消していたので、ちらっとしか見ませんでしたが」

 ーーーー


「お嬢!――何か来る!!」

 スカイが叫ぶ。

 空に、異様な光。

「危ない!!」

 エルフィナが飛び出す。

 〝ドカァァァン!!〟

 光と光が衝突。

 魔法陣が展開され、盾となる。

「私が抑える!!逃げて!!」

 〝バチバチバチッ!!〟

 稲妻が走る。

 だが……押される。

 光の柱が、エルフィナを飲み込む。

 〝ズシャァァァ!!〟


 静寂。

 そして――

 そこに、エルフィナはいなかった。


 ⸻


「ハ……ハ……ハァ〜ハハハ!!!」

 狂気の笑いが空に響く。


「消えたか……」

 ゆっくりと息を吐く。

「これで宇宙の秩序は守られる」


「お主何者じゃ?」

 創造神が睨む。

「ん?」

 振り向く男。

「第一宇宙の創造神か?やはり私の事など知らぬか?」

「創造神様、あれがデュランです」

 創造神の目が鋭くなる。

「神というより……悪魔じゃな」

「何とでもいえ。私は宇宙を守ったのだ」

「おぬし何を言っておる?

 本当に狂っておるのか?」

「エルフローラ……あの神は危険だ。

 貴方は分かっていない……」

 淡々と語る。

「時間を巻き戻す力……」

「生命を復元する力……」

「未来を見る力……」

 目が狂気に染まる。

「いずれ誰も逆らえなくなる。

 そんな者が神々の上に立てばどうなる?

 宇宙のルールなど簡単に書き換えられる。

 エルフローラの力は、

 いつでも簡単に宇宙の法則を壊せる。

 私は宇宙の秩序を守ったのだ」

「あの子が危険な神じゃと?

 分かっていないのはお前じゃよ」

 創造神が低く言う。

「ママは神なんかじゃないわよ」

 突然の声。

「ね、おじいちゃん」

「お、おじいちゃん?」

「これ、エレーナ……創造神様に向かって失礼だぞ」

「だって、ママのおじいちゃんなんだから、

 私の曽祖父(ひいおじいちゃん)でしょ?」

「おお、そうか?」

 創造神が苦笑する。

「お前が精霊の……」


「何を勝手に話している。

 神の前で……秩序も何もない……」

 手を広げる。

「これだから危険だと言うのだ……

 やはりエルフローラの息のかかったものは、

 全て消滅させねばならんな」


 その瞬間。

 空間が歪む。そして現れる……

 数万の魔物。


「私が数千年掛けて作り出した僕……

 全てがこの星のSランクの魔物に匹敵する」

「なんてことを……これが神のすることなのか?」

「あれ?精霊王様?平気よこんなの」

「うむ、わしに任せなさい」

 そう言って創造神が一歩前に出る。

「そうはいかんよ?貴方も原初の創造神。

 規格外だということは分かっている。

 だから貴方への対応はすでに万全……」

 そう言って両手を広げるデュラン。

 忽然と現れるキューブ。

 創造神はデュランの出したキューブの結界に閉じ込められた。

 表面は不気味な模様が渦巻いている。

 青から赤へ、紫から緑へと、移ろっている。

 キューブの結界に触れる創造神。

 〝バチッ!〟

 火花が散る。

「クックック……触らない方が良いですよ?

 貴方の神聖力が吸われますからね」

「大丈夫よ?おじいちゃん。私達に任せて」

「いや、エレーナ、我々精霊の手に負えるものでは……」

「エイッ!」

 言い終わる前に、放つ。


 〝ズシャァァ!!〟

 光の渦が広がりながら魔物の群れを突き抜けた。

 通った後には魔物は消えてなくなっている。

「……は?」

 精霊王が固まる。

「お、お前その力……

 精霊の王であるわしを遥かに超えて……」

「毎日、ママから聖魔力をもらってるから」

 当たり前の顔。

「あの子達も見て」

 空を指差すエレーナ。

 空を飛ぶ魔物の中に、ジグザグに動く光。

 その後には光の霧となっていく魔物。

 〝ワオ〜〜ン!〟

「あれは?」

「神獣よ。あの子達もママの聖魔力をもらって、

 大きくなったの」

 その空では、スカイが何やら口から光線を吐き魔物を殲滅。

 地上ではメルフィナとマックスがS級魔物を一刀両断。

 チッチも本来の不死王リッチーの姿で大暴れ。

「バカな……こうも簡単に私の(しもべ)が……」

 デュランの顔が歪む。

 みるみる減っていく魔物。


「……あれ?」

 遠くから見守るエレーナがぽつり。

「私、出る幕なくない?」

 その一言で、空気が少しだけ緩んだ。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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