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第78話 全能の神

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「赤ちゃんだったジュリアナは、

 私たちの星を目掛けて飛んできたのですか?」

「いや」

 創造神が首を振る。

「最初はこの聖域を目掛けていたんじゃ」

「……!」

「わし達も、それに備えていたんじゃ」

 だが――

「突如、進路を変えたのじゃ」

「進路を……?」

「そのまま、お前達の星へ直行じゃよ」

 創造神が目を細める。

「思ってもいなかった動きに、

 わし達は対応に遅れた。

 これは不味い、と――そう思った瞬間じゃ」

 その時。

「そこに漂っていた神聖力が動いた」

「……!」

「それは赤子を包み込んだ」

 そして。

 〝バチィィィィッ!!〟

「衝突した二つの神聖力が、激しく反発し合い――」

「数千の稲妻が、空間を引き裂いた」

 想像するだけで、背筋が冷える光景。

「じゃが、おかげで何とか大惨事は防げた」

「……じゃあ」

 エルフィナが静かに問う。

「その時の神聖力……」

「私になる前の〝私〟が、

 この星とジュリアナを守った……?」

「そうじゃ」

 即答だった。

「既に意思を持っておったようじゃからの」

「……神聖力に、意思……」

「正確には、〝神へと至る寸前の存在〟じゃな」

 だから。

「選んだのじゃな……守ることを」

 静かに言い切る。


「……」

 エルフィナは、少しだけ目を伏せる。

「それにしても……」

 ぽつり。

「赤ちゃんを〝攻撃〟に使うなんて……」

「……恐らくな……」

 創造神が低く言う。

「第1宇宙の神聖力と反発する様に調整した神聖力を、

 飛ばしたんじゃないかな?」

「途中で、成長して赤ちゃんになった?

 赤ちゃんになるのは想定外だったと?」

「せめてそうであって欲しいのじゃが……」

「そして数千年後、

 再びジュリアナは第12宇宙の道具にされ使われた……

 第12宇宙の神々が、そうまでして、

 敵意を向けるのは何故なのですか?」

「2度目は、単にエルフローラの能力に、

 疑懼(ぎく)の念を抱いてじゃと思うがな?」

「…………」

「最初はな……」

 その一言に、含みがあった。


 ーーーー


「創造神よ」

 苛立った声が響く。

「いい加減、俺に指図するのやめてくれないか?」

 振り返る創造神。

「……ザルサール」

「いちいちうるさいんだよ」

 吐き捨てる。

「いやお前は我が過ぎる。

 少し自分を抑えねば、良い神にはなれんぞ?」

 ザルサールは、

 第1宇宙の創造神の神聖魔力から生まれた、

 神々の一神だった。

「それがうるさいって言うんだよ?

 もう11の宇宙の半分の神は、俺の配下だ」

 ニヤリと笑う。

「俺はもう――あんたを超えてる」

 空気が張り詰める。

「お前は一体、何がしたいんじゃ?」

「どうされたのですか?創造神様?」

 騒ぎを聞き、集まる第1宇宙の神々。

「チッ……」

 ザルサールが舌打ちする。

「流石に全員相手では、分が悪いか……」

「何を言ってるんだザルサール?」

「やあ皆んな、お別れだ。

 俺は新たな創造神となり、自分の世界を創る。さらば」

 そう言い残して、ザルサールは消え、

 後に第12宇宙が誕生する。


「……異質な存在じゃった」

 創造神が呟く。

「他の創造神は、原初の神聖力から生まれた……

 じゃがあやつは……わしから〝分かれて〟生まれた」

「……だから歪んだ?」

「どうじゃろうな」

 肩をすくめる。

「ただ――

 わしがおる限り、〝好き勝手出来ぬ〟のが、

 気に食わんかったのじゃろう」

「でも」

 エルフィナが首を傾げる。

「でも……前世で見たあの神の力は……

 そこまで強くなかった気がしますが……」

「ほう」

 創造神が笑う。

創造神様(おとうさま)の1/10位の力だった様に見えましたが」

「お前には分かっていたか……

 まあ、いいとこそんなもんじゃろうな……

 あいつは、わしを超えたと思っておった様じゃが……」

「そんな事で目の敵に?そして攻撃までするのですか?」

「さあな?わしにもあやつの気持ちは分からんよ?

 まあ、目の敵というか……ライバル?

 わしを超えたと言った手前、

 この第1宇宙にだけは遅れととるまいと……

 そんな事じゃないだろうか?」

「迷惑な方ですね……」


 ーー


「エルフロ……じゃなくてエルフィナ……

 ハハ、まだ慣れないな……顔一緒だし……」

 アストラルが苦笑する。

「何?お兄様」

「エルフィナ、ザルサールには気をつけろ」

「うん分かってる」

「あいつ必ず来るぞ?俺の造った魔道具で」

「兄様が造った魔道具?それはどんなの?」

「俺が暴発事故を起こしたことは知ってるな」

「知ってるも何も、あそこを元通りにしたのは私よ?

 そうですよね創造神様(おとうさま)?」

「そうじゃったな」

 創造神が頷く。

「その事故がどうしたと言うのじゃ?」

「あの時、ザルサールに依頼され、

 作っていたのは……」

 アストラルが言う。

「魔力を吸収する装置です。

 お日さま……恒星の光が届かない所に、

 魔素を吸収させた装置を埋め、新たな恒星を作り、

 生命活動を活発化させたいと言っていたのですが……

 見事にっ失敗し……」

「変ね?あそこの残留……

 あの痕跡は魔素なんかではなく、神聖魔力だったわよ?」

「やはりそう言う事だったか……

 魔素と魔力では出力に差があり過ぎる……

 あの事故、変だと思ったんだ……」

 アストラルが目を細める。

「多分あれはエルフィナ用に、

 作らされたんじゃないかと思うんだ。」

「100年前でしょ?そんな昔から……私を?」

「あれは、創造神様でさえ、

 満タンにするのに4~5回はかかる程、魔力を貯められる。

 エルフィナも、全魔力を吸われれば、魔力切れで倒れるぞ。

 たとえ魔法を放っても、全ての魔力が吸われて効かない」

「でも魔力だと、出力が高すぎて、

 上手くいかなかったんでしょ?」

「俺が作ったのは100年前だぞ?

 その後、ザルサールの腹心デュランが引き継ぎ、

 完成したと言っていたよ」

「何か対策はないのかの?」

 創造神が問う。

「分かりません」

 アストラルが首を振る。

「完成した物が、どういう物か見ていませんので……

 ただ、あれを起動させられるのは、

 ザルサールだけだと言っていましたので、

 そうそう使われる事は、ないかもしれませんね」

「どんな形の物なのじゃ?

 それを見たら近づかぬようにすれば良いではないか?」

「はい、私の作った物しか分かりませんが……

 こう、気の幹の様な物の上に、球が載っています。

 地中深く……それこそ星の中心まで根が伸び、

 そこで貯めた魔力を、エネルギーに変え、

 水素を圧縮して核融合を……」

「はいストップ」

 エルフィナが手を上げる。

「難しいことは分からないわよ?

 木の幹に球か……あれれ?」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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