第71話 その時がお前の最後だ
オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。
その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。
神々が道を外れた時――
世界は一人の少女を呼び覚ます。
「丸腰?剣はここにいるわよ?ね、レピちゃん」
「その小娘がどうかしたか?」
「ねえ、確認だけど、貴方達、人じゃないわよね?」
「それがどうかしたか?我らは神ぞ?」
口元を歪める男。
「嘘……貴方達の気配は、そんなものじゃない……」
エルフィナの目が、わずかに細まる。
「創造神様とは全然違うわよ?」
ゆっくりと視線を巡らせる。
「あれ?でも貴方だけ何か違う……
神って言った?まさか邪神?
いやそれ程のものでもないか……」
ふっと笑う。
「いずれにしても、人じゃないわね……
他の5人は、この前、戦った、
人形のゴーレムに、気配が似てるし……
倒しても良心が痛まなくて良かったわ」
そう言うなり、剣に戻ったレイピアを握ろ。
〝ギィンッッ!!〟
次の瞬間――エルフィナは消えた。
雷鳴のような踏み込み。
ジグザグに走る残像。
〝ザンッ!!ザンッ!!ザンッ!!〟
4体同時にこうげき。
遅れて――
〝ドサッ……〟
身体が分離して落ちる。
「残るはあんた達、2人だけよ?どうする?」
剣を軽く振るい、血も付いていない刃を払う。
「こうするさ。私を残したのは失敗だったな?
これを発動させられるのは、私だけなのだよ」
球体が、脈動する。
〝ドクン……ドクン……〟
赤い光。
〝ギュゥゥゥ……!!〟
エルフィナの身体から、光が引き剥がされる。
糸のように細く、しかし膨大な魔力が――
球体へ流れ込んでいく。
「魔力が枯渇すれば、
魔力切れで動けなくなるだろ?
その時がお前の最後だ」
球の点滅が早くなり加速していく。
装置が悲鳴を上げ始める。
(おい……様子がおかしいぞ。……あれは神々でも、
満杯にするには10回以上かかる筈だ……
それなのに、もう満杯のサインが出てる……
まさか故障ではないだろうな?)
(そんな筈はないです……
神々が、その神聖力を使って、何度もテストしたのですから……)
(だとしたらまずいぞ?これ以上、魔力を注入すると……)
「何コソコソ話してるのよ?」
エルフィナが、首を傾げる。
「お前……何故、平然としていられる?」
男の顔に、焦りが浮かぶ。
「間違いなく魔力を吸われているはずだが……」
「そうね……」
自分の胸元を軽く叩く。
「うん……吸われているわよ?」
少し考えて――
「多分だけど……1/100位減った気がする……」
「なっ……1/100……だ……と?」
「まだまだ時間がかかりそうね?」
ニコッと笑う。
「面倒だからこうすれば?」
球に手を触れ、一気に魔力を流し込むエルフィナ。
「ちょ……待て!もうそれ以上……」
球体は制御不能に……そして……
〝パキィィィィン!!!!〟
粉々に砕ける魔道具の球。
広がっていた空間が、〝すっ〟と元に戻る。
「誰の差し金さしがね?正直に……」
〝ドン、ドン……〝
飛び去ろうとして、何か見えない壁にぶつかる2人。
「ザンネーン!」
エルフィナが指を鳴らす。
「今度は私が結界を貼っておいたわよ?逃げられないから」
「くっくそ~!死ね~」
「話す気ないか……魔道具の球壊したんだから、
もう魔法効くわよね?消え去れ……」
剣を軽く振るう。
〝シュンッ〟
静かすぎる斬撃。
二人の身体が、霧となって静かに消滅する。
「あいつ1人だけ、なんだか凄い魔力量だったわね?
消える時の光る霧の量が半端なかったもの……
時間もかかったし……でもそれより不気味なのは……」
「エルフィー、何があった?
いきなり離れて、何も分からなかったぞ?」
「あのね……」
簡潔に説明するエルフィナ。
「狙いは、お前?それとも……敵対国の仕業か?
まだお前に敵対しようとする、馬鹿な国があったかな?」
もうどこも、ちょっかい出す所はないと、
思っていたんだが?」
「神とか嘯いていたけど、
人形のゴーレムだったわよ。
人間の仕業とは思えないわ。何だったんだろ?」
「お前、〝不気味……〟とか言ってなかったか?
それはなんの事なんだ?」
「たぶん奴らの仲間。
何もしないで、気配を消して、ず〜っと見ていたの。
観察してるって感じ……
それで…… 気づいた時には消えていた……」
「……気味が悪いな……」
謎が残った。
ーーーー
「エルフィー。
ついに、シドニアの迷宮に行くんだって?」
「うん、明日向かうわ」
「俺も行きたいのだが……色々忙しくてな……」
「無理しなくて良いのよ?
それに貴方を連れてはいけないの」
「何故だ?危険だからと、
まさか1人で行くつもりじゃないだろな?」
「最初だけね。とりあえず1人で入って、
後からスカイ達を召喚するわ」
「何故そんなまわりくどい事を?
最初から一緒に行けば良いんじゃないか?」
「あそこは、入った途端に、どこかに飛ばされるんだって」
「前に言ってた、異次元とか異世界ってやつか?」
「じゃなくって、この世界のどこからしいわよ?
しかも飛ばされた瞬間に、記憶まで飛んじゃうんだって。
だからアカシックに、あそこの記録がないのよ」
「それじゃあ、入ったらまずいじゃないか?どうするんだ?」
「これよこれ」
ペンダントを掲げる。
「ん?ペンダントか?それがどうしたんだ?」
「どこかへ飛ばされるって言うトラップを、
無効化させる魔道具よ」
「どこでそんな物手に入れたんだ?」
「あの絵の人……ジュリアさんのご主人……
アストラさんに頂いたの」
「えっ?あの人みつかったのか?」
「うん、前にインザシア国に調べに行った事あったでしょ?
あの時、入った画廊の、ご主人から連絡が来て、
アストラさんの絵が、又入ったからって……」
――回想
「お~あんたか?来るの速すぎないか?
預かっていた、魔導伝書鳩で、
連絡入れたばかりなのに、どうやって?」
「……たまたま、近くに居たので……
その絵ですね?確かに同じ作風ですね?
手に入れた経路を、お教えいただけませんか?」
「経路も何も、本人が売りに来だんだよ。
連絡も無く、突然現れたから、
その時、こっちも金を用意出来なくてな。
さっき、残りを取りに来られたから、
そこらにまだ居るんじゃないか?
その金で、色々買わなきゃならないって、
言ってたからな……」
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