表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/73

第68話 異世界から召喚された勇者

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「お嬢、そのコアは、お嬢に会いたかった様だぞ?」

「えっ?そうなの?

 スカイは、コアの考えてる事が分かるの?」

「はっきりとした言葉じゃない。だが……伝わる。

 コアの感情に近いものがな……

 我も迷宮の一部だった存在だからかもしれん」

 すたすたと、コアへ近づくスカイ。


「そのコアに、手を添えてみてくれないか?

 お嬢にも、コアの声が聞こえるかもしれん」

「……こう?」

 そっと、指先を触れさせた瞬間――

 〝トクン……〟

 心臓の様に、コアが脈打つ。

 次の瞬間、意識の奥に、柔らかな声が流れ込んできた。


(エルフロー……いえ、エルフィナ様)

「……!」

(偶然とは言え、辛い思いをさせてしまい、申し訳ありません)

「……ううん」

 小さく首を振る。

「意図してやった訳じゃないものね……もう大丈夫よ?」

(そう言っていただけると……)

 コアの光が、少し柔らかくなる。

「貴方、どうして、ここまで浮き上がって来たの?」

 コアを見つめる。

「スカイは、貴方が、私に会いたかったと言っていたけど……」

(ええ、貴方様にお会いしてみたかったのも、勿論なのですが……

 シドニアの迷宮の事で……お話が……)

「シドニア……最後の迷宮ね。なあに?話って?」

(私達コアは、お互い意思の疎通が出来るのです。

 他の迷宮が攻略された事も、存じ上げておりました。

 ただ……3年程前からなのですが、

 シドニアの迷宮コアとの交信が、出来なくなりました」

「……え?」

 エルフィナの表情が曇る。

「何か異常な事が起きている筈です。

 くれぐれも、お気を付けいただければと……

 その事を、お伝えしたく)

 光が、不安げに揺れる。

「そうなの……教えてくれてありがとう。

 でも何故そこまで親切に?」

(それは当然です。貴方は女神……)

「女神?」

(……貴方は女神に祝福された方……

 この世界に必要なお方です……それと……)

 一瞬、間が空く。

「できればシドニアの迷宮コアお救い下さい)


 ーーーー


「へぇ……そんな事があったのか」

 椅子にもたれ、腕を組むマックス。

「珍しく迷宮攻略に時間かかってると思ったんだよ……」

 会議を終え、事の経緯(いきさつ)を聞いていたマックス。

「新学期の準備もしなきゃだし、少し体も休めたいし……

 シドニアの迷宮に行く時間が、無くなっちゃったわ……

 何だか謎のままって、気持ちが悪いのよね……」

 アルガルド先生にお願いして、

 お休みいただこうかしら……」


 ーーーー


「なるほど……構わんよ?……ただ……一つ条件がある……」

「条件ですか?」

「ああ、エルフィナに、

 やってもらいたい事があるんじゃが……」

「はい、私で出来る事なら……」

「棄権すると言っていた、武道大会なんじゃが……

 出場して欲しいんじゃ」

 ニヤリ、と笑う。

「あ、でも私、結界貼っていて……公平じゃないので……」

「なに、どうせ(かす)らせもしないで勝つんじゃから、

 結界は関係ないじゃろ?

 掠る事が出来れば相手の勝ちーー

 とかでも良いんじゃないか?」

「まあ……それは良いのですが、

 私に出て欲しい理由を、お教え頂けませんか?」

「まあ……何故?と思うわな……実はな……

 今度の武道大会に、シドニア王国の王立学園から、

 招待選手が参加するんじゃ」

「シドニア王国……あの最後の迷宮のある……

 サンブルズ帝国に匹敵する大国ですね?

 何故そんな所から?」

「エルフィナと戦ってみたいらしい……」

「私とですか?」

「神の愛し子の噂は世界中に広まっておるからな?」

「ですが、大会に参加したとしても、

 必ず私と対戦するとは限りませんよ?」

「〝大会の優勝者と手合わせしてやる〟

 ……と、言ってるそうだ」

 アルガルド、目を細める。

「してやる?随分上から目線ですね?

 それ程、強いのですか?」

「少し前に、異世界から召喚された勇者だそうだ。

 例の魔族襲撃事件を聞き、

 万が一に備え、慌てて召喚したらしい……」

「本当に異世界から召喚って出来るのですか?

 今迄の勇者も、そうやって召喚された人なんでしょうか?」

「そんな事は無いぞ。この世界から、誕生した勇者の方が多い。

 異世界召喚が出来るのは、シドニア王国だけじゃ。

 成功したのは、今回の勇者で5人目らしい。

 他の勇者に比べて、その勇者達は、

 レベルの上がり方が半端ないんじゃと……」

「伝説の勇者3人は、全てシドニア王国の召喚者なのですか?」

「いや、その3人の中には、シドニア王国の者はおらん」

「レベルの上がり方が凄いのに……ですか?」

「チヤホヤされて、(おご)り高ぶり、

 大した努力もせんのじゃろう……

 今度の勇者も、その口ではないか?

 〝手合わせしてやる〟って言ってる時点で、

 おおよそ予想がつく」

「面倒ですね?断れなかったんですか?」

「陛下からも頼まれてな……それに……」

「それに?何ですか?」

「……いや……まあ……その……」

「ん?」

「わしは学生の頃、シドニア王国の王立学園に、

 留学しておった事があるんじゃ。

 あそこの学園の学園長……タルボットは……

 その学園の、同級生でな。わしの古い友人なんじゃ……」

「ああ、エスティア王国からは、

 学問が進んでいるシドニア王国に、

 よく留学しますものね?」

「……あやつ偉そうに、〝神の愛し子とは言え、

 勇者の足元にも及ばないだろう〟とか……

 色々好き勝手に言いよってだな……」

「…………」

「わしも昔から、あやつとはよく比べられて……」

「ライバルだったんですね?

 武道大会か……やっぱり面倒だからお断りします……

 と言いたいとこですが……」

 エルフィナ、ふっと笑う。

「こちらを見下してるのが気に入りませんよね?」

「じゃろ?だからエルフィナ……出場してくれるか?」

「お引き受けします。

 でも良いんですかね?随分自信がある様ですが……

 無様な姿を披露してしまうと、

 恥ずかしくて、勇者とか名乗れなくなりますよ?」

「フォ~ホホホ、そうじゃな……

 ちやほやされて良い気分のところ、

 世間の話題は、エルフィナばかりで、

 すっかり主役を奪われて、面白くないんじゃろ?

 力には自信があるんじゃろうが、

 井の中の蛙なんじゃろうて」

「アルガルド先生、何だか楽しそうですね?」

「フォ~ホホホ、

 タルボットの、悔しがる顔が目に浮かぶわい……」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ