第66話 あっ……ダメなやつだ……
オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。
その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。
神々が道を外れた時――
世界は一人の少女を呼び覚ます。
――それでも。
終わらなかった。
エルフィナは、なおも空にいた。
無数に絶え間なく輝く球を放ち続ける。
1分ーー10分ーー30分――
そしてーー1時間。
「おじょ~~お~~!!」
ついにスカイが叫ぶ。
「いい加減降りてこい!!」
ドラゴンへと変じ、飛び立とうとしたその瞬間――
「来ちゃだめぇぇぇ!!」
空から声が飛ぶ。
「巻き添えになるからそこにいてぇぇぇ!!」
――さらに時間が流れ、ようやく。ふらり、と。
エルフィナが降りてきた。
「……はぁ……」
着地と同時に、崩れ落ちる。
「ドワ~~……マジで疲れた……」
「お嬢……」
「スカイ……」
顔を上げる気力もない。
「2時間近く、降りていらしゃらないから、
心配しましたよ」
「チッチ……数千じゃなかったわ……
2万位いたんじゃ無いかしら?」
そのまま、うつ伏せに倒れる。
流石に私の魔力も、残ってない感じ……」
「……これは一旦撤退だな」
スカイが冷静に判断する。
「その状態で進むのは危険すぎる」
「このブロック、めちゃくちゃ広かったわよ?
そして隣のブロック……最初の場所だったの」
「ん?て事は、円柱の、この迷宮は、一周した訳だから、
迷宮全部制覇したって事か?
あとはラスボスの部屋だけ?どこだ?」
「さあ?どうなってるのかな?
でもスカイの言う様に、一度戻るしかないかも?
もう、私ヘロヘロだもの……」
「又やり直すのは面倒だが……それしかないだろう」
「ここへは、次からは、空間移動で来れるから、
もし魔物が復活してたとしても、
対応するのはあの軍隊だけよ?
今度は、皆んなにも手伝って貰って、
魔力、体力、残さなきゃ……」
「んだな……じゃあ戻るとするか?
外に転移するだけの魔力は、残っているのか?」
「……多分……あれ?私の魔力……」
「――あっ!!」
岩陰から矢が飛んできた。
〝バシッ!〝
スカイが矢を叩き落とし、神速で岩陰に回り込んだ。
〝ドカッ!〝
クルッと回りながら、
後ろ回し蹴りで、頭を吹き飛ばす。
「まだ隠れていた奴が居たのか……」
カタカタ不規則に身体を揺らした後、
魔物は霧となって消えた。
〝ゴオォォォォォォォォォォ!!!!〝
地鳴り。空間が震える。
円柱の迷宮の中心に、
100m程のドームが浮かび上がってきた。
「もしかしてあれがボス部屋?
さっきまでは、全滅させてなかったから、
出てこなかったって事の様ね」
〝ズシャアァァァァァァァァ!!!!〟
ドームを残し、あとの迷宮は崩れていき、
砂と化していく。
ドームの周りは、まるで砂漠の様になってしまった。
〝ズズズズズzzzzzz!!!!〟
ドームが、入って来いと言わんばかりに、
入り口を開けた。
「ああ……入んなきゃダメな系?」
「いや、魔力が残っているなら、
一旦地上に戻ろう!」
スカイが即座に制止をかける。
〝ズリ……ズリ……ズルズルズルズル……ズザァ~~!!〝
「なっ!?」
円柱迷宮の外壁が回り出す。
そして、どんどん加速を続け、高回転で回り出すと、
竜巻の様な風が舞い上がる。
「お嬢!速く外に出よう!
段々と小さくなって迫って来たぞ!」
「分かった!皆んな私に捕まって!」
「待ってください!!」
アカシックが叫ぶ。
「あの、もの凄い回転……
あれは、エルフィナ様の結界に、
匹敵する障壁になってますよ?
万が一失敗したら、
皆んなバラバラに体を引き裂かれます。
外は無理です。中に急いでください!
後10秒もありません!」
「わかった、ドームの中に入るしかないみたいね!
スカイ、走って!」
そう言うと、チッチを抱き上げ、
超速でドームに入った。
〝ズズズズズzzzzzz!!!!〝
開いたドームの口が、閉まっていく。
「この中、真っ暗じゃない……何も見えないわ」
「いやあそこ……薄ぼんやり、何かが光っている様だ」
「あれって、もしかして人間?……1……2……3人?……
もしかして、剣みたいな物持ってない?
ラスボスって単体よね?普通」
「いや、複数居る事も、少なくないぞ?」
「よくぞここまで来た。
ここまで到達したのは、お前達が初めて」
「……喋った……あれも多分ゴーレム……よね……
貴方達が、この迷宮のラスボスって事でOK?」
「よくぞここまで来た。
ここまで到達したのは、お前達が初めて」
「……会話出来そうもないけど……一応聞いてみるか……
この女の人、知らない?」
「我らを倒さねば、ここから出る事は、叶わない」
「あっ……ダメなやつだ……
仕方ない……やるしかないわね」
「エルフィナ様、この3人、それぞれ時代は違いますが、
剣神と呼ばれていた、人間の剣士ですよ?
ここは広いとは言え、
スカイがドラゴンになって戦う広さはありません……
剣神相手に……しかも、魔力切れの状態で大丈夫ですか?」
「我は、この姿でも、充分強いぞ?」
「私だって、皆んなに恐れられるリッチーですよ?」
「ふふ……頼もしいわね?2人共。
後にも先にも進めないなら、
やるしかないんじゃない?」
そう言ってエルフィナが、レピ剣を抜くと、
あたかも試合開始とばかりに、
ドームの天井が光だし、
あたりは、昼間の様に明るくなった。
「お嬢!あそこ!もう1人いる……」
スカイが指差す。
遠くてあれだが……もしかしてあれは、女の子?
あの姿……お嬢なのでは?」
「ああ……確かに……私ね……
悪趣味ね……私を私と戦わせるの?
もう1人の私を、斬り裂かなきゃいけないなんて……
本当に創造神様が創ったの?ここ……」
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