表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/71

第51話 残りの2つの迷宮

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「ちょっとこっちに来てくれ」

 マックスが、小声でスカイを呼び寄せる。

 エルフィナから、ほんの少し距離を取って。

「なんじゃマックス。コソコソと……」

「……俺の剣技のレベル、分かるか?」

 ひそひそ声。

「うむ、なかなかのものだぞ?

 人の限界である100迄もう少しの98だな……

 悪魔の憑依した中級の魔物を、

 あれだけ倒したのだから当然と言えば当然だな?」

「え~~~~!!」

 思わず頭を抱えるマックス。

「やっぱ負けてんのかよ、俺……!」

 がっくりと肩を落とす。

「納得がいかぬなら、手合わせでもしてみるんだな」

「…………」

 沈黙。

「…………剣で負けてたら、

 俺の立つ瀬がないじゃねえか……」

「仕方ない……

 お嬢を普通の人間だと思わん方か良いぞ?

 気にするな」

「き……気にするわ……

 夏の長期休暇明けに、武道大会が有るんだぞ」

「ああそれなら、お嬢は出ないって言ってたな」

 さらりと。

「何でだ?全員参加だぞ?

 俺は去年の大会は留学してたんで参加出来なかったが、

 エルフィーが優勝したんだよ。

 前年の優勝者が出ないわけにはいかないだろ?」

「お主達、身体に防御結界を張っておるじゃろ?」

「……あ」

「あれは反則だし、今は解除する訳にいかないから、

 棄権すると言っておったぞ」

「そう言う事か……なる程。ほんじゃ俺も棄権だな。

 猶予が出来た、

 来年迄には俺もエルフィーを超えてみせるぜ」

「無理であろう?お主の最大値は100が限界」

「ぐっ……」

 言葉に詰まる。

「……俺はどんなに頑張っても、追いつけないのか?

 何でエルフィーは、限界を越えられるんだ?」

「さあな?我にも分からんが……」

 スカイは空を仰ぐ。

「お嬢の事だからな……常識では測れんだろ?

 神の愛子だから?とでも思っておくとほかないな」



「ねえ?さっきから何コソコソやってるのよ?」

 ひょい、とエルフィナが顔を出す。

「マックスの奴が……」

「おい待てスカイ!?」

 間に合わない。

「お嬢に剣技で抜かれたのを気にしていてな……」

「お、おま……何で言っちまうんだよ?

 デリカシーってもんがないのか?」

「抜いた?何で?」

 エルフィナがきょとんとする。

「マックスはもっと上なんでしょ?」

「言ったであろうが、人の限界は100なんだと」

「そうか……そうだったわね……」

 エルフィナの表情が、少しだけ曇る。

「〝マックスから限界無くなれ!〟なんて願えば……

 ハハハ……そんなに上手くはいかないよね……」

 そして、自分で言って苦笑する。


「うおおおおおおおおおおおっ!!」

 突然マックスが咆哮した。

「ど、どうしたの!?」

 エルフィナが驚く。

「……あれ?

 マックスが……光ってる……?」

 淡い光が、彼の身体を包み込む。

 内側から滲み出るような――

 異質な輝き。


「……まさか」

 スカイが目を細める。

「〝外れた〟のか?」

「え……?」

「限界が――消えておる」

「……嘘でしょ」

 エルフィナの声が、震える。

「確認します」

 アカシックの光が強くなる。

「……間違いありません。

 マックス・エスティア様の〝成長上限〟――

 現在、制限値が存在しません」

「…………」

 沈黙。

「エルフィナ様……」

 静かに、だが確かに。

「貴方は……本当に、出鱈目な存在です」


「よっしゃああああ!!」

 一転。

 マックスが拳を突き上げる。

「サンキューエルフィー!!

 あと一年!絶対追い越してやるからな!!」

「え?」

 エルフィナが首を傾げる。

「なんで一年?」

「今年の武道大会、棄権するんだろ?」

「ああ……」

 少し考え――

「それならきっと来年も棄権じゃない?」

「…… あ……そうなるか?」

 固まる。

「でもまあいい!」

 すぐ立ち直る。

「エルフィーを守るのは俺だ!

 その俺が、お前より弱いとか――

 カッコつかねえだろ!」

「……ふふっ」

 エルフィナが柔らかく笑う。

「頑張ってね♡」

 軽く流す。

「私はレイピアのレベル上げ、終わったし――

 これからは魔法主体になると思うから……

 たぶん、これ以上レベルも上がらないわよ?」

「……余裕かよ」


ーーーー


「それではこれより――」

 場面転換。

 夏季休暇後ーー学園の闘技場。


「記念すべき第200回!

 エスティア王国王立学園武道大会――

 決勝戦を開始する!!」

 歓声が轟く。


「マックス・エスティア!

 そして――エルフィナ・スタンリー!」

 名前が響く。

「前へ!!」


「「……なんでこうなった?」」


ーーーー


 時は現在に戻る……


「夏季の長期休暇も後10日。

 どうしよう……残りの2つの迷宮、

 かなり厄介なのよね……10日じゃ無理かも?

 どっちかに絞るとすると……

 どっちが良いかな?アカシック」

「半日とかでサクサク迷宮制覇してきた、

 エルフィーとは思えない発言だな?」

「アカシックの情報だと、

 迷宮に行くまでが、既に厄介なのよね……

 迷宮自体の情報は、全然無いし……

 つまり制覇するどころか、

 1層すら攻略出来ていないって事」

「後、残ってる迷宮は、シドニア国とスロリア王国か?」

「先ほど話した様に、

 シドニアは少し慎重に事を進めた方がいいですね」

「どんな感じなんだ?」

「ご存知かと思いますが、

 あの小さな島国は、魔法が使えないのです。

 理由は分かっておりませんが、

 魔法使いには、迷宮に辿り着く事自体、難しい場所です」

「そうは言うが、エルフィーは、

 人の限界をはるかに超越した、

 剣技もあるじゃないか?」

「ええ、剣士や武道家中心に、

 迷宮に辿り着いた冒険者は、

 そこそこ居りますよ。

 しかしそれでも、

 迷宮に入った瞬間からの情報は全く無いのです。

 全員の意識が、そこで途絶えております」

「入った瞬間ってのが恐ろしいな?

 異世界かなんかの入り口なんじゃ無いのか?」

「でしょ?入った瞬間、死を迎えるか、

 それとも異世界?かなんかに飛ばされる……

 そう言うことよね?」

「死ぬことはないと思うぞ?

 我も迷宮の主であった身だ。

 そのような〝理不尽すぎる構造〟は聞いた事が無い」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ