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第47話 こいつらもう終わったな?

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「マックス殿。どういたします?」

 アンカーが問う。

「主力の兵と、ほぼ全ての魔導士が、

 エルフィナの結界で身動きが取れない好機。

 一気に攻め滅ぼすか?な?エルフィナ?」

「……また私?」

 ため息をつく。

「もういいわよ……」

 少しだけ、疲れたように呟く。

「話し合いにもならない」

 くるり、と背を向ける。

「帰りましょ」

「……結界は?」

「解除するわ」

 あっさりと答える。

「もうそろそろ、兵士たちの食料も尽きる頃でしょ?」

 ちらりとマックスを見

「砦の備蓄、分けてあげていいわよね?」

「……マジか?」

「それで餓死は防げるでしょ?」

 軽く笑う。

「さっさと帰ってもらいましょう?」

「食料をやって帰すのか?良いのかそれで?」

「そうですよ?姉上。

 このまま許したら、

 また同じ様なことを、

 してくるかもしれませんよ?」

「いいのよ」

 あっさりと言い切る。


「この後――」

 ゆっくりと、首脳たちを見渡す。

「自分たちの国の民が、

 この人たちに敬意を持つ?

 信頼すると思う?」

「…………」

 誰も答えない。

「見捨てられた兵が、

 これまで通り命を賭けて従うと思う?」

「……?」

「ん?どういうことだ?」

 マックスが首を傾げる。

 エルフィナは、くすりと笑った。

「ホホホ……

 神様がやってくれた〝あれ〟よ」

「……まさか」

「試しにやってみたら、私にも出来たみたい」

「……ああ」

 マックスが納得する。

「なるほどな……」

 そして、ぽつり。

「だったら…うん、こいつらもう終わったな?」

「マックスを送ったら直ぐに砦に向かうわね」

「1人で大丈夫か?」

「もちろん!じゃあまたね。アンカー」

「ちょっ……お待ち下さい。何をされたのですか?

 失礼をお詫びします。もう一度話し合いを……」

 一番偉そうにしていたヤバレス国王サイレスが、

 情けない声を出す。

「今さら?」

 振り返りもせず、答える。

「遅いわよ」

 一言。

「だって――」

 少しだけ肩越しに振り返り、

 にこり、と笑う。

「全部、バレちゃった後なんだから」

 静かな一撃。

「さっさと国へお帰りなさい」

 その言葉と共に、彼らの運命は、

 完全に終わった。


(今の会話、全部――

 各国で〝全国放送〟されてるけどね?

 ……ご愁傷様。



 ――その映像は、突如として各国に流れた。


 王城、貴族の屋敷、冒険者ギルド、酒場、農村の広場――

 あらゆる場所で、空中に一斉に光が放たれる。

 そしてその光はやがて鮮明な映像となる。


「な、何だこれ……?」

「突然、空中に映像が……?」

 次の瞬間――

 そこに映し出されたのは。

 各国の王、そして首脳達が、

 一堂に会した〝会談の場〟だった。


 ⸻


 ■アルバス王国・王都


「……あれは、陛下……?」

 広場に集まった民衆がざわめく。

「なんでこんな映像が……」

「会談って言ってたやつか……?」

 だが――

 次第に、その空気が変わっていく。

「何だよ……今の発言……」

「兵を……見捨てるって……言ったのか?」

 ざわ……ざわ……


「嘘だろ……?」

「俺の弟、あの軍にいるんだぞ……?」

 ざわめきは、不安へ。

 そして――怒りへと変わる。


 ⸻


 ■ヤバレス国・貴族街


「ふん……どうせまた外交の駆け引きだろう」

 ワインを傾けながら、余裕の表情を見せていた貴族。

 だが。

「……は?」

 グラスが止まる。

「何を言っている……?」

 映像の中で、自国の王が言い放つ。

『役に立たなかった兵など、代わりはいくらでもいる』

 沈黙。


 そして――

「……馬鹿か、あの男は」

 顔から血の気が引く。

「これが、民に流れている……だと……?」

 理解した瞬間、

 貴族の顔が、恐怖に歪んだ。


 ⸻


 ■コーラン法国・大聖堂


「神よ……これは……」

 祈りを捧げていた司祭が、言葉を失う。

 映像の中で、

 〝民を軽んじる王の言葉〟が、何度も響く。

「これでは……信仰が……」

 信仰の正当性すら揺らぐ。

 ざわめく信徒たち。

「我らは……何を信じていたのだ……?」


 ⸻


 ■レコロ連合・酒場


「おい、これマジかよ……」

 荒くれの冒険者たちが、酒を飲む手を止める。

「兵は使い捨てだとよ」

「ふざけんな……」

 一人が立ち上がる。

「俺の親父、兵だったんだぞ」

 拳が震える。

「……冗談じゃねえ」

 椅子が倒れる音。

「こんな国、守る価値あるかよ」


 ⸻


 ■ゲンセン連邦・農村


「お父さん……帰ってくるよね……?」

 幼い少女が、母の袖を掴む。

 だが、母は答えられない。

 映像の中で、

 〝兵を見捨てる〟言葉が、何度も繰り返される。

「……大丈夫よ」

 震える声。

「きっと……」

 その言葉に、確信はなかった。


 ⸻


 そして――

 全ての国で。

 同時に理解された。

 これは――

 誰かが意図して、流している。


 ■数分後

 ーーとある国。

「……な、何だ……?」

 一人の王が、違和感に気付く。

「妙だ……外が騒がしい……」

 兵が駆け込んでくる。

「報告いたします!」

「なにごとだ!」

「国内各地で暴動が――!」

 ざわっ。

「なに……?」

「王城前に民衆が押し寄せております!

 〝兵を返せ〟〝王は退け〟と――!」

「なっ……!?」


 別の国の使者も、青ざめて口を開く。

「こちらもです!

 都市部で暴動が発生!

 兵の家族が……!」

「ば、馬鹿な……」

 さらに追い打ち。

「貴族の一部が離反の動きを――!」

「神殿でも混乱が……!」

「軍の一部が命令拒否を……!」


 会談に首席していた首脳たちは、

 この事態をまだ知らない……

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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