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第44話 エレーナの光

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「き、貴様……何者なんだ?

 何でこんな事が出来る?

 なぜ我ら悪魔を傷つけられるのだ?」

「何言ってるの?憑依した悪魔は、

 元の魔物が傷付くと同時に傷つき、

 倒す事も可能だって聞いたわよ?」

「……26層からは、憑依した悪魔は居ない……

 そこから下は悪魔そのものだ……

 ただの剣の攻撃などで、

 倒されるはずがないんだ……」

「うそ?そうなの?何で?」

「俺が聞いてる……何故だ?」

「知らないわよ……

 それでそんなに怯えているんだ?

 あのね?ちょっと聞きたい事があるんだけど……」

「クッ……余裕ぶりやがって……」

「この絵を見て――ちょっ……

 それ以上近付かないでよ……

 虫嫌いなの!だから近づくなって……

 キャ〜キャ〜〜〜!」

 エルフィナは、

 本気で顔を引きつらせながら、後ずさる。

「……虫が嫌い?そうか……」

 カマキリ悪魔の目が、

 ぬらりといやらしく細まった。

「おらおらーおら〜待て〜」

「来るな〜キャ〜キャ〜〜〜!」

「オラオラオラ~……

 グヘヘへ……」

「ちょっと本当にやめて!

 うわっ、無理無理無理!

 近い! その動いている触覚! 無理~~!!」


「グヘヘ……って、あれ?

 何で俺は、

 変態みたいなことやってるんだ?」

 カマキリ悪魔が一瞬だけ素に戻る。


 ーーーー


「ママの所へ行く」

 ふわり、と。

 マックスの肩の辺りを漂っていたエレーナが、

 小さな身体いっぱいに淡い光をまとって、

 くるりと一回転した。

「エレーナ?」

「私もあっちへ行く。

 ママ、今ね、すっごくイヤそうなお顔してるもん」

「イヤそうな顔?」

「ママ、虫さん苦手でしょ?

 だからエレーナ、ママと一緒にいてあげるの」

「虫って……悪魔じゃないのか?

 なんでそこまで分かるんだ……」

「ママのことだもん」

「エレーナは明らかに変化しておりますね。

 以前よりも、

 エルフィナ様との同調率が高いのでしょう」

「同調率?」

「エルフィナ様の気持ちとか、魔力の流れとか、

 そういったものが、

 分かるようになってきているのでは?」

「行ってくるね!」

 制止する間もなく、

 エレーナは柔らかな光となって、

 薄暗い迷宮の奥へと飛んでいった。


 ーー


「オラオラオラ〜〜グヘヘへ……」

「い・い・加・減・に――しろぉぉ~~!!」

 振り向きざま、目にも見えぬ速さで、

 レイピアを振るうエルフィナ。

 〝シュバババババッ!!〟

 滅茶苦茶に振っているようでいて、

 その刃は一本残らず、

 正確にカマキリ悪魔を捉えていた。


「ちょ……まったまった!

 分かった、分かったから……

 容赦ねえな、おい!」

「ハアハアハア……本当に?近づかない?」

 〝コクコクコク……〟

 首がもげそうな勢いで頷くカマキリ悪魔。

「……だったらもういいわ……聞いて……

 レイピアのレベルアップが出来ないのは残念だけど、

 貴方、倒さないであげるから答えてちょうだい」

「〝倒さないであげるから〟?……

 ふ、ふざけるな〜!!」

 今度は悪魔の方が、半ば錯乱したように、

 手の刃を振り回し始める。

「え……と……なんで一歩も動かず、

 暴れているのかしら?

 そこから届くわけないでしょ?

 私に近付くのがそんなに怖いの?」


 ーーその時だった

「ママ!」

 ふわり、と肩口に舞い降りる小さな光。

「エレーナちゃん!?どうやってここに?」

「ママの所にならどこにだって行けるよ」

「すごっ!でも危ないから、

 マックスのところで待ってて」

「ママ、すっごくイヤそうなお顔してたから……」

「それで来てくれたの?

 あれよあれ……ママ、虫苦手なの……」

「だったらエレーナがやってあげる……」

「えっ?」

 ーー次の瞬間

 ぱあっと、エレーナの身体から光が溢れた。

 それは、ただ優しいだけの光ではなかった。

 邪を照らし、本質を暴く光。

 神聖で、清らかで、しかし悪しきものには

 容赦なく痛みを与える、裁きにも似た光。


「ギィィィィヤアアアアアッ!!」

 カマキリ悪魔が悲鳴を上げる。

「やめろ! その光を向けるな!

 その光は駄目だ!その光は――!!」

 黒い外殻の表面から、どろりとした闇が滲み出す。

「エレーナ……もういいわ……やめてあげて。

 ママ、虫さん苦手だけど、

 虫さんんもママのこと苦手みたい……」


 カマキリ悪魔に振り向くエレーナ。

「いい?もう一度聞くわよ?」

「………………」

「この女性見た事ある?

 この迷宮の何処かに、この人いないかしら?」

「……いないな……見た事もない……」

「そ?やっぱり居ないか……残念ね」

「か……帰るのか?」

「うん。残念、残念……貴方を倒せなくて……

 〝レピちゃん〟レベルマックスにできなかった……」

 ま、いっか……バイバイ」

「バイバイって……

 どうやってここを出るつもりだ?

 俺を倒さない限り扉は開かないぞ?」

「えっ? 本当?

 それじゃあ、やっぱり貴方を倒すわ」

「ちょ……それは……」

「なんてね。ウソウソ。

 約束だから、このまま転移魔法で移動するわ」

「ボス部屋は転移魔法は効かな――」

「ママ、いっしょに帰ろ?」

「うん」

 エレーナが、

 エルフィナの頬にすり寄るように寄り添う。

 次の瞬間、二人の身体を柔らかな光が包み込んだ。

 〝フッ……〟

 そのまま、二人の姿は掻き消える。

「消えた……だと……?」

 呆然と立ち尽くすカマキリ悪魔。

「……あっさり転移しやがった……

 本当に何者だ?

 神聖の光をまとった精霊を従え……」

 悪魔は目を細めた。

「我らを直接倒せるのは神位しか……まさか……」

 この時レイピアが、レベルアップしていないのに、

 静かに光っていた事に、エルフィナは気付かなかった。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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