第37 話 あ゙?
オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。
その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。
神々が道を外れた時――
世界は一人の少女を呼び覚ます。
「え~とね~」
じっと少年姿のドラゴンを見る。
「貴方はドラゴンの時の姿が、
空の様に青いから……スカイ!」
〝パァァ……〟
淡い光が、少年の姿のドラゴンを包み込む。
「おお……!」
目を見開くドラゴン少年。
「名が……身体に馴染む……!」
「良かった~上書き出来たみたい。
どうどう?スカイって?」
「うむ……なかなか良いんじゃないか?」
小さく頷く。
「気に入ったぞ」
「おっさん臭いぞ?その喋り方」
「……そこはどうでもよい……直ぐには、治らん」
「そのかわいらしい少年の姿で、その話し方……
違和感ありありなんですけど?」
〝コンコンコン……〟
扉がノックされる。
「エルフィナお嬢様~。夕食のご用意が整いました」
「ありがとう。今行くわ」
(エルフィナお嬢様の部屋から、
話し声が聞こえたけど……気のせい?)
「もうそんな時間なのね。
貴方達は大人しく私の部屋で待っててね。
スカイには後で何か食べ物用意するからね」
「うむ、肉がいいな我は」
「ok!じゃ、後でね」
「ちょっ……待てよ~
忘れてるんだけど……俺の名前は?」
「〝忘れてた~〟」
「俺の扱い雑じゃね?
って……あれ?なんで俺光ってんだ?」
「お前の名は〝忘れてた〟に、決定だな……」
「いゃ〜ぁぁぁぁぁ〜〜!」
――後にこの剣は、
**〝アカシック〟**と名付けられる。
なお、剣として振るわれることは――一度もなかった。
ーーーー
「次はインザシア国が宜しいかと……」
「あの女の人の絵の描かれた国ね?」
「遠い国で封印されたと考えるより、
自国でと考える方が合理的かと……
そこにこそ、
手掛かりがある可能性が高いのでは?」
「それもそうね?って、
貴方なんでそんな話し方?」
「アカシックの話し方など、どうでも良いであろう?
だがお嬢。あそこの迷宮は、少し厄介だぞ?」
「その少年顔で、〝お嬢〟とかいうのやめてくれない?
で、何が厄介なの?」
「あそこは、アンデッド系モンスターが主流だぞ。
ゾンビだとか、スケルトンとか、悪霊だな」
「スカイ殿、良くご存知で。その通りですな」
「それの何が厄介なのよ?」
「ん?怖くないのか?普通、年頃の女の子は、
そういうの苦手なんじゃないのか?」
「やだ~怖~い。どうしよう?」
棒読み。
「「………………」」
「可愛くないぞお嬢……わざとらしい。
そうか……お嬢は、普通じゃ無かったな……」
「普通です~ ふ・つ・う。失礼ね!」
「私のデーターでは……」
「だから、なんでそんな喋り方なのよ?」
「アカシックという名をいただいたからには、
こんな感じのイメージでいこうかと……」
「あ、そう……」
「私のデーターでは、普通の若い女の子は…………」
「あ゙?」
「……まさに……
エルフィナ様のようなお方の事でございます」
「お嬢……顔が最恐になってるぞ……」
「あ゙?」
ーーーー
ーー迷宮攻略中……
「あ~~ん!どうなってるの?
私の魔法が全然効かないわ?
一旦戻った方か良い?」
「迷宮のラスボスの我がいるのだ、
問題ない。このまま進もう」
「この迷宮。どこもかしこも狭くって、
ドラゴンの姿に戻れないじゃない。
ここ15層までは、
そこまで強い魔物は、
出なかったから良かったけど、
スカイは少年の姿だし、
この先どう戦かったら良いの?
私の魔法が使えない、
こんな状態だと、少し不安じゃない?」
「まあ……ここから下は、
未だ誰も到達しておらんらしいからな。
どんな魔物が出るやもしれんな?
不安がないとは、言い切れんな……
それにしても、
お嬢の魔法が全然効かないとは、
どういう事であろうか?」
「さっぱりよ」
「奴にアカシックと名を付け、絆が繋がった事で、
アカシックの持つ、
膨大な魔法の知識に触れる事で、
魔法の理解が深まったと言っておってだろ?」
「ほんの一部ね。
アカシックの記憶は量が多すぎて、
私には理解しきれないのよ……
それに普通の魔法と、
私の魔法は全然違うじゃない?
理解するのと使えるのはね……
それでも、みんなが使っている普通の魔法は、
随分上達したと思うわよ。
そしたら、
私の〝思うだけ魔法〟も上手くいく確率が増えたの」
「だが、ここではその魔法が効かないと?
その理由が分からんのであれば、
何度来ても同じ事だぞ」
「エルフィナ様の魔法は、
正常に発動されておりますよ?」
アカシックが言う。
「そうなの?だったらどうして……」
「今使ってるのは、〝思うだけ魔法〟なのか?」
「そうよ?死ね~!って念じてるんだけど、
ぜんぜんダメなのよ」
「「……………………」」
「何よ?」
「お嬢……やっぱりバカだったのだな?」
呆れたようにスカイが言う。
「失礼ね!何度も言うけど、学園主席よ?」
「私のデーターでは……」
アカシックが淡々と言う。ここの迷宮の魔物は、
死にません。そもそも生きておりませんです」
「えっ?」
「だから……こ奴らアンデッド系は、
すでに死んでおるだろうが?このおバカ」
「あ……」
「今頃〝あ〟? お嬢。本当に学園主席なのか?
驚くほど知識が豊富で、
頭の回転も早く策略にも長けているのに、
時々、アホかと思う程、抜けておる時があるな」
呆れ顔のスカイ。
「そこが、こいつの可愛いところなんじゃね?」
「そんな時だけ、話し方変えるな!」
エルフィナが睨む。
「お嬢。この先からは、
〝消え去れ〟とかで良いんじゃないか?」
「あ……」
「又〝あ〟?まあよい。分かったなら、先を急ぐぞ」
「はいはい分かりましたよっと…………
〝消え去れ〟……」
〝シュン〟
「な、何すんだよエルフィナ!
スカイが消えちまったじゃねえか!」
アカシック絶叫。
「戻れ……スカイ」
〝パッ〟
「どわ~何をする!お嬢!」
スカイ復帰。
「出来るかどうか確かめただけじゃない……」
「確かめるために、我を消し去るでない!
死ぬところだったぞ。
一瞬、お花畑に飛ばされたじゃないか!」
「はいはい……悪~ございました」
「「全然悪いと思ってないだろ!」」
数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。




