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第30話 完敗だな……

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「エルフィナちゃん!」

 我慢できず、王妃マリーアンが、

 エルフィナに抱きついて来た。

「私、本当に嬉しいの。

 貴方の様な娘が出来て……」

「……お母様……私もです。

 末長くよろしくお願い致します」

 優しく抱き返す。

「お身体の具合も、もう大丈夫そうですね?」

「ええ、すっかり元気よ!

 全部あなたのおかげ」



「父上一つ宜しいでしょうか?」

「何だ?申してみよ」

「兄上。あんたはそれで納得してるのか?」

 マックスがまっすぐ見据える。

「納得も何も……」

 アレックスは苦く笑う。

「俺には、どうする事も出来んだろ……」

「……確かにそうか……だとしたら兄上……

 俺としては、心配の種は、取り除いておきたい……」

   一歩、距離を詰める。

「その腰の剣で、俺の首を切りつけてみてくれ」

「何を言ってる?マックス。頭がおかしくなったか?

 俺にお前を切れと?ふざけてるのか?」

「いや、良いから、やってみてくれ」

「マックス!お前っ!」

 ランスロット国王が立ち上がる。

「大丈夫ですから、父上は見ていて下さい」

「エルフィナちゃん?」

「大丈夫ですよ?お母様」

 エルフィナが静かに言う。

「皆さん、危ないので少しお下がり下さい。

 それと、兄上。岩でも切るつもりでやってくれ」

「は?意味が分からん」

「岩でも切るつもりでやらないと、

 あまりの硬さと言うか、

 その反動で、兄上の腕が壊れかねない……

 そう言う事だ」

「ふん!よく分からんが、まあ良いだろう……」

 アレックスが剣を抜く。

「後で後悔しても遅いぞ?

 死んでも化けて出るなよ?」



 〝ガキィィィン!!〟

 甲高い音。

 弾かれた剣が宙を舞い――

 〝カラン……カラン……〟

 床に転がる。


「な、何と剣を跳ね返したと……」

「これが……」

 マックスが静かに言う。

「兄上が手放したエルフィナの……

 人智を超越した魔法だよ?

 俺達にはどんな不意打ちも意味をなさない……

 それを覚えておいてくれ」



「……さて」

 剣を拾い、差し出す。

「兄上……

 これまでのわだかまりは捨てよう。

 民のために――この国のために…て

 力を貸してくれないか」

「ハハハッ……」

 アレックスが肩を落とし、そして笑う。

「完敗だな……

 次期国王陛下……」

 片膝をつく。

「誠心誠意、貴方に支える事を、

 ここの皆の前で誓います」

「「「「「「「「おおおお~~!!!!」」」」」」」」

(兄上、潔くて、ちょっとだけかっこよかったぞ?)

(ちぇ……頼むぞこの国を)


 その瞬間――

 王家の四人の表情が、

 初めて、同じ〝笑顔〟へと変わった。



 ーー数日後


 ランスロット国王に呼ばれ登城(とじょう)すると、

 教会の枢機卿が待っていた。


「国王陛下。お言葉を宜しいでしょうか?」

「枢機卿か?構わん。何であるか?」

「聞けば、次期王妃のエルフィナ様は、

 神の愛子(いとしご)と言われている様で……

 我々教会としては、いかに(ぐう)したら宜しいのかと……」

「エルフィナ嬢……それについては?」

「私には、よく分かりません……

 天からの声が、私を愛子(いとしご)と呼んだ……

 ただそれだけです」

「神と意思の疎通が取れるとか……

 本当でございますか?」

「1度だけ、マックス王子との婚約を、

 祝福して下さいました」

「1度だけ……でございますか……

 もしや気のせいとかでは?」

 枢機卿の発言で空気が重くなる。

「妹も……それにマックス王太子も、

 聞いておりますので……」


 〝枢機卿とやら……〟

 低く重厚な声が腹の底に響いた。

 〝その()は我が愛子で間違いない〟

「おお~~このお声は……

 我が(しゅ)であらせられますか?」

 〝我が愛子(いとしご)は、1点の曇りもなく、

 澄み切った心を持っておる……

 お前の様に疑いの目を持つものが、

 接する必要はない。

 今後一切、関わることのない様……

 くれぐれも……〟

「お、お待ちください!(しゅ)よ!

 私は決してその様な……」

 しかしーー天からの答えはなかった。


(お父様、グッジョブ!)

(お父様?あの声は神様だろ?)

(あれ? ホホホッ……何だろ?

 間違えちゃった……父なる神って言うしね?)

「エルフィナ様、私ども教会は、

 決して貴方様に(あだ)なすものではございません。

 ですから……お気を悪くされぬよう……」

「枢機卿……失礼を承知で申し上げますが……

 私の事は、暫くそっとしておいて頂ければ幸いです」

「くっ……承知致しました」

「ご理解頂きありがとうございます」

「あ、あの……」

「まだ何か?」

「その……頭に乗っておられるのは……」

「何か見えますか?光とか……」

「その……何とも可愛らしい小さな女の子が……」

「この子が見えるのですね?やはり聖職者……

 この子は精霊のエレーナです」

「違うわ……ママ……私が怒ったから見えただけ……」

 あの人、ママにいい感情を持ってない」

「あら、怒ってたの?それで枢機卿にも見えた?

 大丈夫よ。あの方、そんなに悪い人じゃないわ。

 私、悪意には敏感なのよ?」

「ねえ……おじさん……

 ママは精霊王様にも、

 守護されていることを忘れないで」

「…………精霊王……

 申し訳ありません。

 今まで前例がなかったことなので……

 教会内でも意見が分かれ……

 疑うようなことを申し上げ、

 心よりお詫びいたします」

「枢機卿様、私も決してあなた方を、

 無碍(むげ)に扱うつもりはございません。

 教会も神とつながる神聖な場所……

 いつか近い内、必ず時間を取り、

 教会に(おもむ)かせて頂ければと思います」

「おお〜……ありがたき幸せ。

 お待ち申し上げております。

 神の愛し子よ……」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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