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第29話 マックス王太子

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「それじゃ何か?」

 アーノルドが頭を抱える。

「メアリーは、

 帝王妃になるのを取り消させて尚、

 今度は、第三皇子と、将来を約束し、

 更には帝王家の大半が失脚し、

 その第三皇子が、

 次期皇帝になるのが決まりましたよ……

 と言うことか?何だそれ?」

「それだけではありませんよ?父上殿」

 マックスが静かに続ける。

「時期皇帝のアンカーは、

 エルフィーを、姉と慕い、

 絶大な信頼を向けております。

 それは我が国にとって、

 有難い話である事は勿論ですが、

 この国で、エルフィナが、

 最も発言力のある人物になった……

 と言う事でもあるのです」

「まさかそんな事に……」

「更に言うと、

 サンブルズ帝国帝王妃の実家となる、

 スタンリー侯爵家が、両国において、

 どれほどの影響力を持つか……って……あれ?

 父上殿?スタンリー侯爵?あれ?

 白目開けながら、気を失っちまったな?」

「急激な変化に、ついていけなかったみたいね?

 お父様らしいわ……」

「この情報は、

 既に親父や兄貴の耳に入ってるだろうな……

 明日どう出るか、ちょっと見ものだな?

 エルフィーと、メアリーも一緒に来いよ」

「いやよ……って言いたい所だけど、

 いずれ呼ばれるに決まっているものね?

 良いわよ?一緒に行こ?ね、メアリー?」

「うん……」

 メアリーが小さく頷く。

「私、疲れたから、

 明日はゆっくり休みたかったんだけどな……

 でも、王家の反応も気になるし……

 分かった。私も行くわ」


ーーーー


「あ、マックス王太子。お帰りなさいませ。

 長旅、お疲れ様でした。

 ただいま門をお開けいたします」

「なんか様子が変だな?静かすぎるぞ?」

 マックスが眉をひそめる。

「なんかあったのか?」

「皆様お揃いで、マックス王太子をお待ちです」


「あいつ変じゃね?

 俺を王太子とか言っちゃってるし……

 王太子じゃねえっての……

 なんかあったのか?って聞いてるのに、

 その答えがみんなが待ってる?

 大丈夫か?あの門番」

「……ん~ん……なんとなく予想はつくわね……」

「どう言う事だ?俺には、全く分からんが?」

「まあ、行ってみれば分かるでしょ?王太子君……」

「はあ~?」

「頭悪っ……マック兄……」

「ね~~」

「何だよ?2人して……」


「広い方の玉座の間に、

いらして下さいとの事です」

「何で大広間の方なんだ?」

「現在、王都に在住する主要貴族――

 そのほぼ全員が集まっております」

「あっ……」

 エルフィナがぽんと手を打つ。

「それでお父様、朝からいなかったのね?

 急な呼び出しがあるって、

 セルジオが言ってたのはこれか」


「あっ!おいでになられた……」

 〝ギイィィ~〝

 重厚な扉がゆっくりと開かれる。

 両脇の兵士が、深く一礼。

「――マックス王太子殿下、ご帰還!!」

「……〝王太子〟って、こいつもかよ……?」


 レッドカーペットの両脇に、

 整然と並ぶ貴族たち。

 その数――およそ五百。

 視線が、一斉に突き刺さる。

「何だ何だ?何が始まるんだ?」

 玉座の上には王家の面々。

 その顔はなんとも三者三様。

 魂の抜けた様な顔のランスロット国王。

 苦々しい顔のアレックス王子。

 満面笑みの王妃マリーアン。

 レッドカーペットに、一歩踏み出すと、

 割れんばかりの拍手で迎えられる。

「な……何事だよ?」

「「やっぱりねえ~」」


「マックスよ」

 国王の声が、静かに響く。

「お前達の事は、

 次期サンブルズ帝国帝王であるアンカー皇太子より、

 直々の感謝状が届き、聞き入っておる。大義であった」

「もう書状が届いたのですか?早すぎません?」

魔道具(伝書バード)の書状だよ。

 一刻も早く、事態を明らかにしたかったんだろ」

「なるほど……」

 マックスが頷く。

「しかしあれですよ?

 事態って、ほとんどエルフィナ嬢が、

 1人でやった事ですけどね」

「うむ」

 国王はゆっくりと視線を向ける。

「そのエルフィナ嬢なのだが、アンカー皇太子より、

 〝今後の我が国との全ての交渉窓口を、

 エルフィナ嬢に〟とのご指名だ」

「……!」

「エルフィナ嬢。お願いできるか?」

「はい、承知致しました。

 サンブルズ帝国と我がエスティア王国の、

 末永い友好の為、精一杯尽力させて頂きます」

「……であるか……よろしくお願いする」

 ランスロット国王が、広間を見渡す。

「さて、ここの皆には、先程伝えてあるのだが、

 マックスとエルフィナ嬢の婚約が、めでたく成立した」

(ちょっと、まだ正式に婚約成立してないわよね?)

(……だよな?)

「コホン……元より両家とも婚約を認めており、

 本人達もそれを望んでおったゆえ、

 今朝、法務院への正式な届が出され、

 正式に受理された。

 後ほど、全国民へ発表される事になっておる」

 一呼吸おくランスロット国王。

「……さて、先程〝王太子〟と呼ばれ、

 戸惑っておった様だが……

 今朝の緊急招集会議にて、

 お前を、エスティア王国の、

 正式な後継者と定めた」

「……は?兄上は?」

 国王の声が低くなる。

「アレックスにおいては、

 これまでのエルフィナ嬢及び、

 スタンリー侯爵家への非礼の数々。

 その責任を取らせ、継承権の剥奪を言い渡した」

「……俺が、次期国王……?」

「それなんだが……サンブルズ帝国では、

 1年後にアンカー皇太子が、帝王の座につくとの事……

 その時期に合わせ、我も王位を譲るつもりだ」

「向こうは色々事情があっての事、

 父上が隠居するのは、

 いささか早いのではありませんか?」

「いや、向こうの次期皇帝は、お前より更に若い。

 ここは、お前達、若いもの同士、

 互いに協力し合った方が良いであろう。

 お前達の目を見張る活躍を聞き、

 わしには、到底真似できぬと痛感した」

 ふっと笑う。

「マックスのみであれば、いささか不安ではあるが、

 エルフィナ嬢が、ついてくれているならば、

 その不安も無い」

「それ、地味にひどくないか……?」

「ははは!

 この国の将来は、お前達に掛かっておる。

 この国を頼むぞ!」

「委細承知いたしました」

 マックスが深く頭を下げる。

「誠心誠意努める事を、ここに誓います」

「「「「おおおお~~!!!!」」」」

 そして再び、大広間が揺れる。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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