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第28話 じゃあ――おじいちゃん?

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「もしかしてエル姉が付与して作ったの?」

「うん、昔、隣街から帰る時、

 盗賊に襲われそうになったでしょ?」

「うん、あったあった!

 エル姉が危ないって大騒ぎして、

 あんまり騒ぐから仕方なく、

 お父様がルートを変えた時ね?」

「そう、それ」

 エルフィナは少しだけ目を伏せる。

「あの後ね……

 貴方が〝ひとりの時に何かあったら〟って考えたら、

 急に怖くなって……

 どうにかして、危機を察知できないかって思って、

 手に持ってたランプ用の魔石を、

 こう……コロコロ転がしながら考えてたの。

 そしたら――急に光り出して…

 気が付いたら、透き通った綺麗なブルーに変わってたのよ」

「え……」

「後でアルガルド先生に鑑定してもらったら、

 〝対になる魔石同士で、

 危機を知らせ合う付与〟がかかってるって」

「凄っ……」

「それで――ペンダントにして、

 司祭様にお願いして、貴方に渡してもらったの」

「……だからか」

 メアリーが、そっと胸元に触れる。

「〝絶対に外してはいけない〟って、

 あの司祭様が何度も言ってたの」

「そうよ」

 ふっと、柔らかく笑う。

「あの方もね……数少ない、私の理解者だったの」

「昔から〝思うだけ魔法〟使えてたって事じゃないか?」

 マックスが腕を組む。

「妹が心配で無意識に出来てたんだな……このシスコン……」

「やだ、シスコンじゃなくて、

 〝ファミリーコンプレックス〟よ?縮めて〝ファミコン〟」

「自分で言うか?何だよそのゲーム機みたいな名前」

「貴方にもあるわよファミコンペンダント」

「そんなかわいいやつ、俺には似合わないだろ?」

「貴方のは、ちゃんと“クール系デザイン”にしてあるわよ」

 エルフィナがウインクする。

「……どれ」

 受け取って、少し眺める。

「……お、マジだ。いいじゃんこれ」

「でしょ?」


ーーーー


「――じゃ、そろそろお別れね。

 帰りは空間魔法で転移するわよ?」

「「「バイバイ!アンカー!」」」

「さよならです!皆様!」

 エルフィナ達の前の空間が歪み、

 次の瞬間〝フッ〟と3人は消えた。


 ーーーー


「どわぁっ!?び、びっくりしたぁ!

 いきなり現れるな、エルフィナ!」

「もう……相変わらず小心者なんだからお父様は……

 ただいま戻りました」

「お、お帰り……」

 父は胸を押さえながら、深く息を吐く。

「お前たちのこと……

 あちこちから情報が入ってきている。

 正直、気が気じゃなかったんだ。

 ……詳しく、話してくれるか?」

「もちろん!」

 エルフィナは満面の笑みで頷く。

「――でもその前に!

 お土産、たっくさん買ってきたの!」

「沢山て……食べ物ばかりだな……」

「そう!向こうの珍しい食べ物いっぱい!

 これ食べながら報告するわ」

「ん?」

 父が目を細める。

「……その、可愛いもふもふも土産か?」

「うん、まあ……一匹はね。

 もう一匹は、すぐ返さなきゃいけないんだけど……

 そういえば、お父様こういうの好きだったわよね?」

「ただし――」

 ぴしっと指を立てる。

「この子たち、〝神獣〟だから。

 あんまりワシワシしちゃあダメよ?」

「し、神獣だと……!?」

 父の動きがぴたりと止まる。

「お、おい……そんなものを飼って大丈夫なのか……?」

「大丈夫みたいよ?」

 あっさり。

「……みたいって何だ、みたいって」


「それと……何だ?

 その頭の周りをクルクル回っているのは……」

 父がエルフィナの頭上を指差す。

「ああ、この子?」

 エルフィナが視線を上げる。

「精霊のエレーナちゃん」

「……精霊?」

「お父様には、光にしか見えない?」

「……違うのか?」

「そっか」

 エルフィナは、くすっと笑う。

「エレーナちゃん。

 この人、私のお父さんよ?」

「ママのお父さん……?」

 小さな声が、ふわりと響く。

「じゃあ――おじいちゃん?」

「まあ……そうとも言えるか?」

 父が戸惑いながら頷く。

「でもな……

 わしには、その子、光にしか見えんのだが……」

「どうにかならない?」

「……いいよ」

 エレーナが、くるりと一回転する。

「大サービス」



 両手を胸の前で交差し――

 パッと開いた。

 その瞬間。


 「この人、私のお父さんよ?」


「ママのお父さん……?」


 小さな声が、ふわりと響く。


「じゃあ――おじいちゃん?」

 腕から溢れた光が渦を巻き、

 部屋の空気ごと包み込むように広がっていく。

 くるくると回転しながら、

 やがて光は一点に収束し――

 静かに、形を成した。

「……ん?」

 父が目を細める。

「……エレーナちゃん?なんか変わった?」

「どわぁぁっ!?」

 次の瞬間、思わず後ずさる。

「な、何だこの可愛い女の子は!?」

「見えるんだ」

 エルフィナが楽しそうに笑う。

「やるじゃない、エレーナ」

「えへへ~」

 ふわりと浮かぶ、小さな少女。

 淡く光をまといながら、嬉しそうにくるくる回る。


「……この子が精霊……?」

 父はまじまじと見つめる。

「で……何でお前が“ママ”なんだ?」

「それは――

 長くなるから後でね」

 エルフィナがさらっと遮る。


 ーー


「ほら」

 父が手を伸ばす。

「お前に懐いてるんだろう?

 おじいちゃんですよ~。こっちへおいで」

「…………」

 エレーナ、ぴたりと停止。

 そして――

 スッ……とエルフィナの後ろに隠れる。

「……来ないな」

 寂しそうなアーノルド。

「当たり前でしょ」

 エルフィナが即ツッコミ。

「初対面でいきなりわね……」



「それより――」

 パン、と手を叩く。

「お土産食べながら、

 向こうでのことお話しするわ」

「そうか……分かった。

 誰か、母さんを呼んできてくれ」

「その前に、マックスは空間転移で王城まで送るわね」

「えっ?今晩は泊めてくれよ?俺も、それ食いたいし……

 俺だけ王城に帰って、

 親父達皆んなから根掘り葉掘り、

 聞かれるのはごめんだぜ」

「確かにちょっと面倒かも……

 そうね良いわよ?泊まっていけば?

 ねえ?お父様」

「構いませんよマックス王子」

 父が柔らかく微笑む。

「ゆっくりしていって下さい。

 王子は、我々の家族になる方ですから。

 遠慮は無用です」

「ありがとうございます。父上殿」

 少しだけ照れくさそうに言う。

「俺は息子になるんですから、敬語はやめて下さい。

 名前も呼び捨てでお願いします」

「いやいや、結婚するまでは、

 そうもいかないでしょう?」

「でしたらせめてプライベートの時だけでも」

「……そうだね……」

 一拍置いて、頷く。

「〝家族になる〟じゃなくて、

 〝もう家族〟って事で良いのかな?

 分かったよ。マックス……これで良いかな?」

「はい、父上殿」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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