表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/71

第26話 待ち構える1万の兵

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「凄いぞ!外は……この声聞けよ?」

「「「「「ア・ン・カ~!ア・ン・カ~!」」」」」

 大地を震わせるような大歓声。

 ――その時。

 〝我が愛子(いとしご)が信頼する者が、

 この国に在るのならば――

 我もまた、この国を見放すことはない。

 正しき道を歩め、アンカーよ〟

 腹の底に響く、低く重厚な声が――天より降り注ぐ。

「……今の、天の声か?」


「「「「「ア・ン・カ~!ア・ン・カ~!」」」」」

「おい……これ、やりすぎじゃねえか?

 本物の神様が聞いたら、怒るぞ?」

「だから違うってば……私じゃないわよ?

 これ、全国に聞こえてるみたいだけど……」

「……マジで神の声……?」

「エル姉、本当に神の愛子(いとしご)だったの?」


「なあ……俺、婚約して大丈夫なのか?

 神様に怒られたりしないか……?」


 ――その瞬間。


 〝……幸せにしてやっておくれ〟

 今度は、優しく包み込むような声。

 それは――この場の者にだけ届く。

「「「「えっ?えっ?えっ?」」」」

「本当に私は」「エル姉は」「エルフィーは」「姉上は」

「「「「神の愛子(いとしご)?」」」」

 〝フォッホホホホ……〟



「アンカー皇子!敵兵が居なくなりました!」

「まあ……この状況で、

 襲ってくる馬鹿はいないだろうな」

「じゃあ帰りましょう?

 街探索は諦めて、王城に攻め込むわよ!」

「おい待てエルフィー、ガチで帝王家攻める気か?」

「さあ?

 それは向こう次第よ。

 どう出るか見てから、対処するだけ」

「分かりました」

 アンカーは静かに頷く。

「私も……覚悟は決まりました。

 この国民のために――最後までやり遂げます」


 ーー

 王都に戻ると、

 城門前には、一万を超える兵が展開していた。


「うわ……えげつない数だな……

 よくこの短時間で集めたな……」


 だが――

 エルフィナたちの馬車が近づいた瞬間。

 兵の波が、まるで道を譲るように左右へ割れる。


「……おい、通れるぞ。

 結界、バレてるのか……?」

「さあね。でも――好都合でしょ?」

 そのまま進む一行。

 やがて、その先に――

 帝国の有力貴族たちが整列しているのが見えた。


「……なんだ、この状況は」

「主だった貴族……ほぼ全員です」


 中央の一人が跪いた。

 それを合図に――

 兵士、一万人すべてが一斉に膝をつく。 

 〝〝〝〝〝〝ザンッ!〟〟〟〟〟〟


「アンカー皇子ーー

 我らは貴方様のもと、

 この国を正しき道へ導くため――

 力を尽くすことを誓います」

「「「「「誓います!!」」」」」

 大地を震わせるような宣誓。

「……これは……」

 アンカーが言葉を失う。

「ありがとうございます……

 皆様……どうか、共に――」

「待って!待って!待って~!」

「姉上?」

「今の、もう一回やって!

 これ絶対〝全国放送向き〟のシーンよ!」

「おいエルフィー、神様を便利に使うな」

「姉上……上を」

「え?」

「……今のも、全部流れてます」

「え、ほんと!?

 神様ありがとう!!」


 ――この瞬間。

 アンカーの地位は、完全に固まった。

 有力貴族の支持。

 民衆の熱狂。

 そして――神託。

 これにより、ブライアン帝王の支配は終焉を迎える。


 ブライアン帝王は地方で隠居。

 オスカー、アスターの両皇子も、

 監視付きで地方の領地に飛ばされる。


 そして――

 一年後。

 若き帝王が誕生することとなる。


 ーーーー


「あ~あ……街の探索どころじゃなくなったわね?

 私たちの顔、完全に割れちゃったしね……」

「メ、メアリー……

 わが国のゴタゴタに巻き込んでしまい、

 申し訳ありません」

「アンカーてば、

 まだ私をメアリーって、

 呼び捨てにするのに慣れないの?」

「メアリー、大丈夫よ?

 認識阻害を掛けて出かけましょう?」

「や~よ。不細工な顔で街に出るなんて……」

「醜く見せなくても、

 ただ単に私達って分からない様にも出来るから、

 それで行こ?」

「いや、誰かわかんなくったって…

 お前達が、2人揃って歩いていたら、

 めちゃくちゃ目立つぞ?」

「貴方達、男性陣も大概よ?

 帽子とメガネと平民服。それで良いんじゃない?」


 ーーーー


「こうやって夫婦2組だけで出歩けるのも、

 これが最初で最後かもな?」

「誰が夫婦よ!気の早い」

「あ、あの……姉上……その……

 話の流れ的に……私とメアリーは……」

「流石に気づくわよね?」

 エルフィナがくすりと笑う。

「もう話して良いわよね?メアリー。

 そう、貴方達2人が、サンブルズ帝国の玉座で、

 幸せそうに並んでる姿が、心に浮かんだのよ。

 私のこの力は今まで間違えた事がないの」

「そ……そうなんですね……良かった……」

 アンカーが、ほっと息をつく。

「良かったって……アンカー、

 本当に私で良かったの?

 エル姉の方が綺麗なのに……」

「姉上は確かに美しいです」

 アンカーはまっすぐ答える。

「ですが、メアリー。

 私が心を惹かれたのは、貴方です。

「姉上は〝憧れ〟で……

 貴方は――最初から特別でした」

「あらあら……」

 エルフィナが楽しそうに笑う。

「お熱いこと。

 アンカー、メアリーをよろしくね?」

「はい!」

 力強く頷く。

「必ず幸せにしてみせます!」


 ――少し間を置いて。

「あ……でも……

 スタンリー侯爵家の許可が……」

「大丈夫よ」

 エルフィナはあっさり言った。

「反対する理由、ひとつもないもの」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ