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第25話 あれが帝王家の真の姿

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「オスカー!この大馬鹿者が!

 そのような姿で玉座の間に入るでない!

 ……く、くさっ……!」

「父上!街の奴らを処刑して下さい!

 そうでないと、皇家の威信に関わります」

「馬鹿者ッ!!

 威信を失わせたのは、他ならぬお前だ!!」

 怒声が玉座の間に響き渡る。

「分かっておるのか?

 お前達は帝王の継承権を、

 既に失ったも同然なのだぞ?」

「な、何を仰ってるんですか?

 聞いて下さい!あのクソ平民……」

「何も聞かんでも分かっておる!」

 帝王は一喝する。

「帝国中の空に――

 お前達の醜態が映し出されておったのだ!」

「……え?」

「糞尿まみれで、平民を見下し、

 罵倒するその一部始終が――

 音声付きで、な!」

「な……っ……」

「表と裏の顔すら使い分けられんでどうする!!

 これでは国中から、

 糾弾されるのは目に見えておる!

 こうなった以上、

 もはやお前達では、この国は保てん……

 とにかくオスカーは、身体を綺麗にして、

 部屋で謹慎しておれ!アスターお前もだ」

「お、お待ち下さい。聞いて下さい」

「全て見ておったと言っただろ!

 何を今更聞く必要がある?

 お前達は、まんまとしてやられたんだ!

 まだ分からんのか?」

「してやられた?誰にです?」

「お前達が、

 亡き者にしようとしてた者に決まっているだろ!

 あの神の愛子(いとしご)、エルフィナの小娘だろが!

 神の愛子(いとしご)だか何だか知らんが……

 あゝ忌々しい!あの醜い化け物娘が!」



「今、神の愛子(いとしご)を、

 亡き者にしようとしたとか言わなかったか?」

「神の愛子(いとしご)を、

 〝醜い化け物娘〟とか罵倒してたよな?

 こりゃあ神の怒りをかうぞ?」

「息子から聞いたんだけどよ。

 あの子、精霊王様にも守護されているらしいぞ」

「大丈夫なのか?帝王家……てか、この国?」

「いやそれより、〝クソ平民〟だとか、

 〝表と裏の顔を使い分けろ〟とか……

 あれが帝王家の本音なのか?」


 ーーーー


「陛下!!おやめ下さい!!」

 側近が青ざめた顔で入ってきた。

「いまこの瞬間も――

 この玉座の間の映像が、

 全国に流れております!!」

「なに……!?

 終わったのではなかったのか!?」

「ここでは映っておりませんが――

 外では今まさに、()()が映し出されております……!」

 それを見て、民が騒いでおります」

「くっ……!!」


 ーーーー


「お帰りなさい、姉上……」

「アンカー……

 貴方も見たのね?」

「はい……帝国中で流れているようです。

 今は――王城の様子が」

「……ごめんね。

 貴方に、辛い思いをさせてしまったわ」

「私は構いません姉上」

 アンカーは静かに首を振る。

「しかしあれが全国に映し出されたのです。

 多くの国民が、傷つき不快な思いをした事でしょう……

 でも、残念ですが、あれが帝王家の真の姿なのです……

 何と言って民に謝罪したら良いのか……

 国民あってのサンブルズ帝国。

 帝王家は、国民の為にあるべきなのです。

 国民を(さげす)んだりする事は、

 あってはなりません」

 〝ふう〜〟と息を吐き肩を落とすアンカー。

「こうなってしまった以上、

 ……信頼は、簡単には戻らないでしょう……

 国民に反旗を翻されても不思議ではありません。

 国の混乱は、免れないでしょう。

 私は今後どうやって、

 国や民を守っていったらよいのか?

 私は無力です……

 でも民の為なら、なんでもします!

 私は何をすればいいのでしょう?

 教えてください姉上」



「あれがアンカー皇子なのか?

 今迄あまり表に立つ事はなかったから、

 分からなかったけど、

 全然違うな……他の連中と……」

「帝王家だと言う(おご)りもなく、謙虚で国民思い。

 あの人こそ次期帝王に相応しいんじゃないか?」

 映像は切り変わり、今はここ……

 アンカーの姿が、全国に映されていた。

 口々に囁かれる帝王家への蔑みと、

 アンカーへの賞賛。


「「「「「ア・ン・カー!!ア・ン・カー!!」」」」」

 各地で沸き上がる歓声。

 それはやがて、一つの大合唱となる。


「アンカー皇子!街で貴方を求める声が溢れ、

 この丘まで届いております」

「えっ?この歓声のような音が?

 姉上、もしかして、今ここが全国で、

 映されているのですか?」

「……ええ。映っているみたいね」

「姉上が……?」

「違うわよ。

 こんな事、私にも出来ないわ」

「……じゃあ、誰が……」

「こんな奇跡を見せられるのは、

 神様しか、いないんじゃない?

 私達の為にやってくれてるのかも……」

 エルフィナは静かに微笑む。

「私達を狙う勢力を、

 徹底的に潰すとは言ったものの、

 私の数少ない魔法で、

 どうやろうかと思案していたけど、

 戦わずして敵を失脚させる……

 最高の一手だもの。

 もしそうなら――感謝しないとね」



「さ、アンカー。国民の声に応えなきゃ!」

「……っ、全国民が見てると思うと……緊張してきた……」

「頑張れアンカー!謝罪するんでしょ?」

「は、はい!えっ……と……」

 一歩前に出る。

「国民の皆様。

 この度は不快な思いをさせてしまい、

 誠に申し訳ありません。

 帝王家の1人として、心よりお詫びいたします」

 深く頭を下げる。

「ですが――

 このまま国を混乱させるわけにはいきません。

 私は……まだ未熟です。

 皆様の信頼を、すぐに得られるとも思っていません。

 それでも……」

 顔を上げる。

「私は、この国を守りたい。

 神の愛子(いとしご)――エルフィナ様。

 そして、隣国のマックス王子達が、

 私を支えてくれています。

 どうか――

 国民の皆様も、力を貸してください。

 共に、この帝国を――

 より良い国へと変えていきましょう!」


「「「「「おおおおおおおおお!!!!」」」」」


「よく出来ました」

 エルフィナが、ふっと微笑む。

「百点満点よ」

 その視線の先――

 ほんの一瞬だけ、

 〝玉座に座るアンカー〟と、

 その隣に立つメアリーの姿が重なって見えた。

「……なるほどね。

 未来で見えた光景――

 こういう流れだったのね」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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