第24話 もはや無敵なのでは?
オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。
その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。
神々が道を外れた時――
世界は一人の少女を呼び覚ます。
「ち、近づくな~!オーク!
だ、誰か……こいつを何とかしろ!」
「はぁ? だったら、さっさと白状しやがれ」
「き……貴様ら……
わしはオスカー皇子の命で動いておる!
このような真似をして、ただで済むと思うな!」
「あらあら……言っちゃったわね?」
「オークにびびって……簡単に口滑らせてる……
相当動揺してるな?どうするエルフィー?」
「オスカー皇子?
あの色ボケ男だったら、そこで寝てるわよ?」
「「「「えっ?」」」」
「あのおじさんがオスカー皇子って白状したから……
ちょちょいって連れてきたの……
でも、この男、私の顔を見た途端、寝ちゃったのよ」
「〝寝ちゃったのよ〟って……気絶してるんだろ、それ?
意外とメンタル弱いやつだな」
「だめよね?寝てたら。
色々喋ってもらおうと思ってるのに」
「プッ……もう何でもありですね姉上」
「そんな事ないわよ?アンカーだから言うけど……」
アンカーに近づき、3人にしか聞こえない様に、
ヒソヒソと囁くエルフィナ。
「私の得意な魔法……
多分魔法だとは思うんだけど……
最近できる様になったものばっかりで……
今やった様に、
空間移動魔法、結界魔法、認識阻害……
後は……予知?未来が時々見えるの。
これは前からね……
でもそれ以外、ほとんど何も出来ないのよ?」
「いや十分すぎますよ……
マックス王子も言っておりましたが……
その魔法だけでも組み合わせれば、
なんでも出来てしまう気がします……」
ため息を一つ吐く。
「それに、いざとなったら、
世界が滅びかねない大魔法が、
飛び出すんでしょ?」
「ふふふ……まさか~」
「「いや出来る……」」
「て言うか、絶対やる!
その未来なら俺にも見える」
「姉上、もはや無敵なのでは?」
〝バッカ~ン!〟
「うわ……メアリー、何いきなり……」
「あちゃ〜」
「強化ガラスの水差しピッチャーを、
頭に投げるか普通?
死んでないか?皇太子……
容赦ないな~メアリー」
「ピッチャーで水かけようと思ったら、
手が滑っちゃった。テヘッ」
「〝テヘッ〟じゃね〜よ……
余計目を覚まさなくなるだろ?」
「あっ、でも衝撃で目を覚ましたみたいよ……
エル姉は、認識阻害を解いて。
このヘタレ、また気絶するわよ?」
「ううぅぅぅ……なんだ?頭いて~」
後頭部をさするオスカー皇子。
「……ん?ここは?
うわっ!貴様ら!な、何だ?
こんな所に皇太子である、お、俺を拉致したのか?
そんな事して、ただで済むと思ってるのか?」
「兄上。股間を濡らしながら凄んでも、
失笑を買うだけですよ?」
「アンカー!貴様が首謀者か?」
アンカーは腰の剣に手を置く。
「やめた方がいいですよ?兄上。
ここには、あなたの味方は、
一人もいないのだから……」
「う、うるさい!」
剣を抜くオスカー。
だが抜いた途端、その剣は、
サラサラと、砂のようになって落ちた。
「……なっ!……」
「エル姉が?」
「ううん、私じゃない……」
「ママ……あれ危ないから……」
「エレーナちゃん?そんなことできるの?
凄っ!ありがと」
精霊を優しく撫でるエルフィナ。
「へへ……褒められちゃった……」
「なあオスカー。アンカーを首謀者って言ったか?
馬鹿か?お前は……アンカーや俺達は、
お前達から何度も命を狙われてるんだぞ?
首謀者ってのはお前の方だろ?
誰と誰が、裏で糸を引いてるんだ?」
「はぁ?俺が、お前達の命を狙っただと?
根も歯もないでたらめを言うんじゃない!」
「兄上、ジオランド宰相……
メチャ口軽かったですよ?」
「な……何だと……え~い!知らん知らん知らん!」
「アンカー。その人すごく臭くなってきたから……
もうやめよ?
大きい方も……しちゃってるみたい……」
「……マジかよ」
「神獣のおチビちゃん達が、
匂いにやられて、ひっくり返ってるわ」
「でも良いのか?このまま帰して……」
「うん。じゃ、私、送り届けてくるわ。
ま・ち・な・か・に……」
「えっ?街中にか?この姿のまま?
エルフィー……容赦ないな……」
「ホホホ……行ってくるわね。
うわ……くさっ!これ以上近づけない……
離れてても出来るかしら……
空間移動で連れてくの……」
鼻をつまむエルフィナ。
「じゃ、ちょっと待っててね~」
声が変だ。
ーーーー
「ん?何だこの匂い?」
「「「「うわ~くっさ~~」」」」
「こいつ、大小、漏らしてやがる……
こんな街中で何してるんだ?」
「き、貴様!俺を誰だと思ってる?
皇太子のオスカーであるぞ!
このクソ平民どもが、誰か早く憲兵を呼べ!」
「クソはお前だろ?クソ野郎は?
何言ってんだ?このバカは?
大体、皇太子が、
こんな街中に1人でいる訳ね〜だろ?」
「黙れ黙れ黙れ!
不敬罪で処刑するぞ?クソ虫供が!」
「クソ虫だってよ?
鏡見てから言えっての……
お前がクソまみれだつ~の」
「ちげ~ね~ギャ~ハハハ!」
「「「「「 ブワ~~ハハハハッ! 」」」」
「き、貴様ら~~全員処刑してやる!
良いか?覚えていろよ!」
座り込んだまま立てずに、
それでも凄むオスカー皇子。
「おい、そこの荷馬車!
それでいい!城まで乗せろ!」
「ふざけんな!
荷台が死ぬわ!!」
「ま、待て!そんな汚い荷馬車位、
いくらでも買い直してやる。
褒美もとらすから乗せろ!」
「嫌だっつってんだろ!!」
「ま、待てと言っているだろう!ちくしょう!」
「おい、あれは何を騒いてるんだ?誰か見てこい」
「あれ、もしかしてオスカー皇子ではありませんか?」
「兄上だと?護衛は?
何で1人なんだ?行ってみるか」
「あれ?本当に兄上じゃないか……
護衛も付けず1人で何してんだ?」
「おお~~!良い所に来た。アスター!
俺をお前の馬車に乗せろ!」
「ちょ、触んな!!
くっせぇ!!それ以上寄るな!!」
あわてるアスター。
「お、おいやめろ!クソまみれの手で、
俺の馬車に触んな!
今、兄上の御者を呼んでやるから、
少し待てよ」
「うるせえ!
そんな馬車なんぞ、いくらでも買ってやる!
早く乗せろ!」
「俺はどうすんだよ?一緒に乗るなんて勘弁だぞ?
その辺の荷馬車にでも乗せて貰えよ?」
「こいつら俺の言うこと聞かねーんだよ!
平民のくせしやがって!」
「平民の分際で、王家の命令が聞けないってのか?
ここのクソ平民供は?」
「おいあれアスター皇子じゃないか?」
「じゃあ、あれは本当に、オスカー皇太子なのか?」
「……今の聞いたか?」
「あれが本音かよ……」
「いつも〝民のために〟とか言ってるのに……」
「な、何だ?こいつら?様子が変じゃねえか?」
「皇子……お下がりください!
この者達、敵意丸出しです」
「いて!誰だ石投げやがったのは!
お前ら全員処刑するぞ!」
「アスター皇子も皇太子と同じこと言ってるぞ」
「帰れ帰れ!」
「き、貴様ら……」
「「「「かーえーれ!かーえーれ!!」」」」
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