第5話 冒険者ギルドへ
先ほども言ったが、ここはファンダリア王国と言う国の外れにある小さな街だ。
北へ行けば王都、南に行けば別の国、東に行けば海があり、西にはサファリが広がっている。なので俺たちは西から東に向かって歩いた事になる。
これからの俺達のスケジュールだが、先ずはギルドで冒険者登録をする。その後可能であればクエストを受けて日銭を稼ぎ、宿を取って今後の事について三人で話そうと言う流れの予定だ。
しかしそこでいきなり問題がある事に気付く俺とヨッちゃん。
「ヨッちゃんって低い声出せる?」
「あー、ぁー、あー、我々は宇宙人だ。……出ないです」
「だよね、普段から声高めだもんね」
「大介さんは高い声出せます?」
「ぁー、あー、ぁー、我々は宇宙人だ。……出ないね」
「そうですよね、普段から声低めですもんね」
そうなのだ。俺たち二人の見た目は少女とおじさんに変わってはいるが、声は変わっていないのだ。この件についてもイシスは強大な殺意をヨッちゃんに向けられていたが、話が進まないのでこうやって色々相談しているのだ。
「ヨッちゃんの魔法でその辺なんとか出来ないかなぁ」
「それもうやってみたんですよね、でも何故か出来なくて」
「それは当然です。条件スキルに魔法が勝てる筈ありません」
物知り顔でドヤ顔のイシスの頭をグーが飛ぶ。
ヨッちゃんも力の加減を覚えた様だ。
「ならこれから日中人と話す機会があればイシスに任せるしかないか」
「不本意ですがそうせざる得ませんね。そもそもこの世界の言葉が私達に理解できるかもわかりませんし、このカスに任せるしかないですね」
「と言う訳なんだが、女神イシス」
「はい!」
いい返事だ。
「俺達の通訳兼、交渉役としてナビ以外の仕事を頼んでもいいか?」
「私人と話すのってあんまり得意じゃ――」
「女神イシス、貴女にお願いしたい」
「はい!この女神イシスに任せて!」
思ってはいたが、やはりこの女神チョロかった。
――――
――
街を歩いている時にも感じていたが、冒険者ギルドの中にも沢山の獣人が居た。猫耳、犬耳、半獣人に半魚人?モフモフは好きだが、ヌメヌメはちょっと近づきたくない気もする。――そう、俺達3人は既に冒険者ギルドの中へと入って来ていた。
黒のドレスを着たイシス。
黒い道着のヨッちゃん。
そして黒いビキニアーマーの俺。
一言も言葉を発せず、三人は無言でギルド中央を受付に向かって歩く。
(さぁこの世界の男達よ!ビキニアーマーの俺が来た!よく見て愛でろ!お触りは許さぬが、欲情の視線は敢えて受けてやろうではないか!分かるぞその気持ち、痛いほどにな!あははははっ)
俺は白いマントを大きく煽る。
――ばさぁー
(ふふっ、今ので後ろの男たちは俺のヒップに脳天を撃ち抜かれた事であろうよ。なんと俺の美しさの罪な事よ)
等と考えていたら。
「(ダイスケさん!今、わざとお尻出しましたよね!」
「(ふぇ?)」
「(ふぇ?じゃありませんよ!なんで今マントからわざわざお尻を出したのか?って事を言ってるんです!)」
「(……サービス?)」
「(は?)」
「(ヨッちゃんもコス撮影会の時に『風が吹いたらこんな感じかな?』とかやってたじゃん。アレだよアレ)」
「(や、ややややりましたよ!やりましたけどあれはファン増やすためで営業活動の一つなんです!そんな軽々しくやってた、わけ、じゃ……)」
「(やってたよね)」
「(……すみません。やってました)」
「(お二人さん、そろそろ受付ですから喧嘩はやめて下さいよ。それと気づいてますか?)」
「(なにがだ?)」「(なにをよ?)」
「(冒険者の方々が全員こちらを警戒しています。もう警戒レベルMAXで警戒されてます!)」
「(なんでだ?)」「(なんでよ?)」
「(私にも解りませんよ!彼らのステータスデータに警戒のマークがビンビンに表示されてるんですよ)」
そう言えばこの女神、人のステータス見れるんだったか。
「(殺意もわかるのか?)」
「(はい、それらの感情もステータスで表示されるのでわかりますが、今の所全員警戒だけです)」
「(そうか、取り合えず受付を済ませて早めにここを出た方がいいかもな)」
「「(そうですね)」」
二人が同意すると同時に俺達は受付の窓口に到着する。そして何故かギルド内の空気が変わり、アリの足音さえ聞こえて来そうな静寂が訪れる。――なんだこの空気。
「ここが受付で間違いないかしら?」
カウンターの内側に座る眼鏡の似合う栗色三つ編みの女性に、予定通りイシスが問いかける。
「あ、いらっしゃいませ。魔石の買取ですか?買取カウンターでしたら隣の建物になるんですが」
どうやら既に冒険者だと勘違いされている様だが、首をふるイシス。
「違うわ、私達は冒険者登録に来たの」
「「「「「「「はぁ~~~~~あ?」」」」」」」
イシスの答えにギルド中で疑問の声が上がる。何故だ?何か俺達は既に何かをやらかしてしまっているのか?
――「おい、聞いたか?」
「あぁ、どえらい新人が来たな」
「俺は見た事もねぇSランク冒険者が入って来たのかと緊張しちまったぜ」
「私なんてあの道着姿の男の殺気で下半身が洪水さね」
「しかしあの黒いドレスの女。あのにじみ出る魔力はなんだ?あれが魔王だと言われても俺は信じるぞ」
「しかしおかしいのは真ん中の女だろ。なんで下着姿で平気なんだ?マント一枚で下着とか頭イカレてるぜ」
「「「「それな!」」」」
「(ちっがーーーーーーう!これはビキニアーマーだっ!下着なんかじゃないわ!そもそもこんなゴツゴツ固い下着があるわけねーだろーが!)」
コソコソと聞こえて来たその声に大声で反論したかったが、声が出せない為俺はその場で膝を落としたのだった。
――クソッ、いつかビキニアーマーの素晴らしさを教えてやるぜ。
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すみません、冒険者ギルド入るだけで終わっちゃいました。
今夜もう少し上げます。




