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このビキニアーマーは俺が着てもいいですか?  作者: ばささん
第一章 仮面の女剣士は誰!?
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第20話 許嫁が公爵令嬢だったけど、おじさん宰相に転生したのでクッコロと言わせて結婚したい



ーー俺がその作品に出会ったのは必然だった。


 美しいラインを残しつつ荒振る戦士を思わせるその造形美は俺の心を捉えて離さない。ーーまぁビキニアーマー程ではないが、それはそれとして。女騎士、シルバーナイトと出会ったのは俺が戦う女コスを諦め掛け、もう年齢に合った男の、しかもおじさん係コスへと落ち着き掛けたその時だった。


 その主人公はファンダリア王国公爵家令嬢として生を受け、趣味としていた剣術の才能を生かし王家直轄の騎士団を設立する迄に至る。ーーそれは彼女が18歳の時だ。

 誰もが憧れる女騎士にして、公爵令嬢。

 民衆はその美貌と勇ましい姿に熱狂した。

ーー彼女が20歳の時、隣国ファムス王家と些細なすれ違いから戦争へと発展。彼女ら女性だけの騎士団も戦場へと旅立つ事となる。

 公爵令嬢たる彼女が戦争へと行くだけでも大問題ではあるが時の宰相グスタフの根回しにより、彼女の出立に反対したのは公爵当主とその婦人のみであったと記憶している。彼等はただの娘として許嫁と幸せに暮らして欲しかったのだ。


 戦場は苛烈を極める。

 初めて彼女が人を切ったのはその時だった。

 初めて仲間を失ったのもその時だった。

 幸せの中で育ち、我儘のうちに女だけの騎士団を立ち上げ、国民に愛され、そして彼女は人を殺し戦地で仲間を失った。彼女は初めて人の命の重さ尊さ知り悲しんだ。


 しかし彼女は一つの騎士団を纏める団長であり、他にも仲間が居る。


 彼女は己の悲しみを表に出さない為にも仮面を被る。それはシルバーのフルフェイスのヘル厶。

 

ーー戦争は決着の付かぬまま、多数の死者を出しただけの悲しい戦争であった。


 国へ戻ると彼女を待っていたのは国民からの更成る熱狂。熱気は、戦争が終わった不安定な国を安寧へと導く天使の御使い戦乙女と言われた。


ーーが、それを良しとしない王国の傀儡。


 宰相グスタフは国王に迫る人気の彼女を戦争の道具、旗頭として利用したがその思惑は外れ、戦争には勝利も出来ずただ彼女の人気だけが残った。

 彼は他の騎士団を唆し、女が戦場に出た事で指揮が下がり勝利出来なかった原因としたのだ。

 王派貴族と騎士派はいつしか手を組み、彼女の戦争犯罪をでっち上げる。


ーー彼女は失意の中、反論する気にもなれず王都を後にする。


「それが受付嬢ギャリーの経緯だな」


 日も暮れ、食事の後部屋に戻った俺はヨッちゃんとイシスに記憶している物語のストーリーを言って聞かせた。


「へぇ、アレってそんなストーリーなんだ」


「あれ?でもヨッちゃん女騎士コス分かってたよね」


「ストーリー知らなくてもキャラは知ってたからね。でもなんか重そうな作品ね」


「そうだね、原作だと受付嬢として生きる彼女に追い打ちを掛けるように不幸の連続が起こるから、俺ですらどうハッピーエンドへ作者が持って行くか期待はしてたんだけど」


「完結してないんだ」


「原作と同時進行でアニメも来期から放送って時にこっちに来ちゃったから心残り過ぎて、やっぱり帰りたくなるよ」


「んー、でもさ。その作品の世界観がこの世界って言っても証拠になるのは受付嬢?シルバーナイト?の仮面と国名だけなんだよね?」


「そうなんだけどさ、その辺を詳しく知ってる奴が居るんじゃないかって思って今日は皆に集まってもらったんだ」


「……皆って言っても」


 ヨッちゃんと俺は女神イシスへ視線を向ける。


「へ?私なにかしました!?大介さんのその作品のストーリーが面白そうだなって聴いてただけなんですけど!」


「はぁ……やっぱり当てにした俺が馬鹿だったか」


「え!落ち込まないで下さいよ!私を当てにして頼って下さいよ!女神なんですよ!」


「ヤクタタ女神は置いとくとして、どうするつもりです?」


「俺としてはもしこの世界がその作品だとしても触れない方がいい気はしているよ」


「確かに。この世界が大介さんの言う世界でないにしろ、戦争や公爵やらが関係しているなら避けて正解でしょうね」


「そうだね、なんせその作品のタイトルが『許嫁が公爵令嬢だったけど、おじさん宰相に転生したのでクッコロと言わせて結婚したい』とかなんか怪しさ大爆発な感じだったし」


「……それもうタイトルに起承転結ありますよね」


「駄目だよヨッちゃん。こう言った作品のタイトルは見てみぬ振りをするのがマナーーー」


 そこで何かを考えているイシスに視線が向き。


「どうした?そんな考え込んで」


「んーいやなんか思い出しそうなんですけどねぇ……何だったかなぁ。まぁ大した事でも無さそうですし、気にしないで下さい」


 彼女のその言葉で俺は話を続ける。


「それでさ、それを踏まえて取り敢えずの俺達の方向性としては……観光なんてどうだろう」


「観光ですか?」


「だってヨッちゃん滅茶苦茶強いし、イシスの魔法も群を抜いてるだろ?ステータスはあるみたいだけど、ラノベでよく見る最初にレベル上げとか必要無さそうだしさ」


「そうですね……お金も魔物イノシシ30頭分、150万ゼニ程はありますからとうぶん凌げますけど。でも観光って程のお金ではないですよ?」


「折角の異世界だしさ、観光しながらお金稼ぎながら王都へ向かって観光かなって」


「あぁ、それならいいかもですね。まぁ大介の言う作品の世界だとしても、一般冒険者として流れている分には関わりそうもありませんしね」


「だろ?」


「でも大介さん武器はどうするんです?結局ダンジョンは入った瞬間外出ましたし、諦めて旅の途中で手に入れます?」


 彼女のそんな質問に俺は不敵な笑みを零し。


「女神イシス!」


「はい!」


「良い返事だ。例の物をここへ」


「了解です!」


 するとイシスは空間から1本の剣を取り出す。


「え、なんですその高価そうな剣は。ここの物価なら数百万はしそうですけど……」


「よくぞ聞いてくれた。この剣は俺が特注で元の世界で発注してた小道……剣だ!」


「……小道具なんですね」


「……はい、小道具です。でもこれ凄くお金掛かっててね、カーボンと超硬合金、それと鋼で造って貰った一品ものなんだよ!」


「な、なんか分かりませんが凄そうですね……いくら位したんです?」


「新車のメルセデス・ベ○ツが買えます」


「敢えて言わせてもらうけど……あんたコスプレーヤーの風上にも置けないね。手造りレイヤーに謝って」


「謝らん!」


 そして俺達は翌日から旅の準備に取り掛かる事にした。

 

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