第13話 守銭奴
「無事だったのね。後は私に任せて引きなさい」
そう俺に言ったのは仮面の女騎士。その言葉に俺は頷き、態勢を整え後方へ下がろうとしたその時。
――騎士の男の右足が俺の腹を蹴り上げる。
「ゲフッ!」――って、痛くない?が、ここは一旦後退!
ヨッちゃん達の所まで8メートル程あったが、ゴロゴロと転がっていく。
「(大介さん!?)」
「(ただいま!)」
「(えらい元気に転がってきましたね……)」
「(相手の蹴りが予想以上に痛くなくてね)」
「(あぁ~、私達このアホ女神のせいでステータスおかしい事になってるみたいですしね)」
「(多分それだな)」
「(……で、どうします?私人殺しなんてゴメンですよ?)」
「(そうだよな、俺もそれには同意見だよ。)」
そう、俺とヨッちゃんはこのダンジョンへ到着する前、こんな話をしていた。
――――
――ゴールデンサーペントを倒し、肉片が飛び散る現場にて。
「うげ、ヨッちゃんやりすぎ」
「私ですか!?この惨劇はほぼあのアホ女神のせいですよ。私はこの蛇の首をスパッと手刀で綺麗に両断しただけですよ?ほらココ」
言いながら首を掲げて切り口を俺に見せて来る。
「うぷっ、グロイから!モザイクないから近づけないで!ってなんで君は平気なんだよ!」
「え?蛇って美味しいんですよ?」
「どこで喰ったんだ!」
「あぁ~私キャンプとか好きなんですよね、コウモリスープとか中々イケルんですよ?」
「それキャンプじゃなくてサバイバルだから!――そこでなんで今『え?』みたいな顔したの!」
「あははは、でもキャンプにしろサバイバルにしろ自然に囲まれて最高にいいと思いません?ほら!」
「両手広げて肉片飛び散るこの現場でそんな事言われてもなぁ……」
「冗談ですって。そう言えば大介さん普段スーツ着て都会派でしたもんね」
「サラリーマンだったからな」
「そうですよね、大介さんがまだカメコ時代の時とかスーツでカメラ抱えてましたもんね」
「そういやあんまりスーツの奴は居なかったな。あれはなんでだ?」
「私が知るわけなじゃないですか」
「そりゃそうか。にしてもスタジオ個撮とか会社抜けだして行ってたし、俺の場合は必然だな」
「そうなんだろうなとは思ってましたよ」
「それに俺は昔からインドア派だからなぁ」
「そうなんですね……あ、そうだ。私キャンプとか得意なんでまたレクチャーしてあげますよ」
「キャンプか、まぁ異世界だし知ってた方が何かと役に立つかもな」
「絶対役立ちますって」
「期待しとくよ」
「任せて下さい!」
「とっ――それよりこのグロ現場どうしましうか」
「見渡す限り血みどろですね。これが魔物じゃなく人間だったらって考えると気分が悪くなります」
「……ここは異世界だしな。テンプレ的に盗賊とか出て来たりしたらどうする?」
「んー、それはちょっと困りますね。いくら相手が悪人でも人を殺すのは出来ませよ」
「そうは言ってもやらなきゃやられる状況もあるかも知れないし、考えておいた方がいいかもな。俺も、君も」
「……そう言う状況になったらそうですね。取り合えず大介さんなんとかして下さい」
「そうだな、善処はしてみよう」
「えへへ」
――てな事を二人で話しをした所だった。ちなみにこの間イシスは嬉々として、「#蛇の鱗が金だ__・__#!」とポイポイ次元収納に入れていた。
――ガキン!
剣の弾く音が響く。
「貴様、中々の腕だな。しかし女としてはと付くがな!」
「騎士と在ろう者が一般人に剣を振り上げるゲスに女扱いされても虫唾が走る!」
――ガキン!ガキン!
「(大介さん。どうします?)」
「(どうするも何も取り合えずこの女神起こさないとだろ。もしくはヨッちゃん担いでくれる?)」
「(なんで私が!?男の姿ですけどステータス的には大介さんも変わりないんですから大介さんでもいいじゃないですか!)」
「(まぁそりゃそうだな)」
「(でもあの仮面の女騎士さん放って置く訳にも行きませんよね)」
「(それな……)」
「(それにさっき仮面の女騎士さん。「無事だったのね」って言ってましたし。何処かで会ってたって事ですよね)」
「(まぁそうだな。会うも合わないも俺達がこの世界に来て知り合った女性ってギルドの受付嬢さんと宿屋の女将さんだけだけどな)」
「(…………ですよね)」
その時――ガキン!
大きな剣激が響くと同時に仮面の女騎士が俺達の近くまで転がって来た。
どうやら俺とヨッちゃんが話してる間に押されていた様だ。
「お前達何をしている!この隙に逃げろと言っただろ!」
その声は大きく、気迫が籠っていた為俺ですら一瞬身体が反応してしまう程だった――だがそれが
「うわっ!なんですか!何が起こったんですか!」
このアホ女神を起こす切っ掛けを与えた。
「黒ドレスの魔法使い、ここは私に任せて早く三人で逃げるんだ」
「あ、受付嬢さんじゃないですか」
「ち、違う!私は受付嬢さんなんかではないぞ」
「え?違うんですか?」
「違う!」
「そうなんですねぇ。あ、そうだ受付嬢さん!私達盗賊に襲われて大介さんの後ろに回り込んでデスファイヤー撃とうとしたら、この身体に慣れてなくてなんと魔力切れを起こして寝ちゃったんですけど二人は?」
「……あ、あぁ話は良く分からんが二人ならここに。それと私は受付嬢さんではないからな」
俺とヨッちゃんへ振り向く女騎士とイシス。
俺達の姿を確認したイシスは。
「二人とももう盗賊殺しちゃいましたか!?」
「(いや、なにもしてないけど?)」
「よかったぁ、じゃ私が殺るので奴らの#所持金__・__#は全部私がもらいますね!」
「「(……は?)」」
何かを言う呼吸さえ与えられずに、イシスはダンジョンで使っちゃいけない魔法の名前を口にしていた。
「死んで私の糧となれ!アースクエイク!!」




