第12話 交差する剣
「お前達はサマリの冒険者か!」
まるで盗賊の様に凄む制服の男。
制服と言っても学生服やら警察官的なものではない。多分軍服。俺達に向ける矛先が幾ばくかの殺気を放っていた。
男達の声にササッと俺の背後に回り込み見を潜めるイシスとヨッちゃん。
「おいおい、半裸の女の後ろに隠れるとはとんだチキン野郎が居たもんだな!あはははははは」
「ちげーね、警戒して損したぜ」
そんな事をのたまう軍服の男達。俺もそっち側なら確実に同じセリフを、言っている自信がある。
「(ヨッちゃん、取り敢えず俺より前に出てよ。うしろから声出して取り敢えず奴らが何者か聞くからさ)」
「(え、嫌ですよ!刺されたらどうするんですか!いつも通りアホ女神に話しさせればいいじゃないですか)」
「(そうしたいのはやまやまなんだが、ほれ)」
「(ちょ!なんでこのアホは寝てるんですか!)」
「(俺も知らないよ!振り返ったら俺にもたれて寝てたんだから)」
「(なんかこっちきましたよ!どーしましょ!)」
「(こーなったら俺が裏声でなんとか話してみるから、その間にこの女神様をお越してやってくれ)」
「(わかりました、やってみます)」
「(頼んだ)」
「おいおい、なにこそこそこ話してるんだ?俺達の事を見られたからには生きては帰れないけどな」
凄む男の前に俺は一歩前に出る。
「私達は旅の芸人です、サマリの街の冒険者なんかじゃありませんわよ?」
「(ちょ!大介さん!)」
「うえ、なんて気持ちの悪い声の女だ。身体は良いのに、ベッドの上でそんな声出されたら萎えちまうぜ」
「あははははっちげーね、カエル抱いてる方がまだましだぜ。その身体もなんかカエルに見えてくるな。あはははは」
「(プチプチプチ)」
ヨッちゃんから血管が大変な事になる音が聞こえたが、ここは俺がなんとかせねば。
「こいつ芸人とか言ったな、いい身体してんのに仮面外したら男かもしれねーぜ?それにゲイの人の間違いじゃねーのか?」
「(ぶちぶちぶちぶちぶちぶち!)」
不味い、このままだとヨッちゃんを殺人者にしてしまう!方向転換!
「芸人と言ったのは嘘ですわ!」
「は?なんでいきなり嘘つくんだこのカエル声」
「おれ、私はサマリの冒険者!貴様等は何故私達を襲うです!ダンジョンの攻略に来たなら共に戦おうではないですか!」
「この露出女大丈夫か?」
「服装と一緒でちょっと頭イカれてやがるぜ。っと、隊長が戻って来たみたいだぞ」
奥から一人の甲冑の男が現れる。
「なんの騒ぎだ」
「はっ!怪しい奴らを見つけましたので拘束する所であります」
「怪しい奴ら?……おい、何故女を脱がした」
「え?」
「え?ではない!既に半裸ではないか!これは影の仕事ではあるが、その影に隠れ陰湿極まりない非道を女性に行うとは、騎士団の仕事と知っての事か!」
ーードゴッ
甲冑の男が軍服の一人の鳩尾に一撃入れると、男はもの言いたげな表情でその場に倒れ込む。
「すまぬ。この者達の非道、我らファンダリア王国騎士の名を汚す行為であった。謝罪を、受け入れて欲しい」
まだ襲われてないけど襲われた事にしておいた方が良さそうだな。彼らの素性も分かった事だし。騎士団と言うならそんな無下には……。
「しかし君達は不運にもこの場に居合わせてしまった。王国騎士の手によって国の為に死んで行く事を誇りに思って欲しい」
……あれ?なんかヤバイ?
甲冑の騎士は剣を抜きつつ。
「ゴールデンサーペントは時期にサマリの街を襲う。どの道君達が生き残る道は無かった。王命とはいえ、国民の命を断つのは心苦しいが、継承権争いで奪われる多くの命にはかえられん。ここで死んでくれ」
騎士の剣が俺目掛けて振り下ろされる、その時!ーーガキン!
俺の頭の上で、剣と剣が交差していた。
「ほう、我が剣を片手受け止めるか。謎の騎士よ」
俺に剣を振り下ろした男の視線は既に俺ではなく。
「無事だったのね。後は私に任せて引きなさい」
ーー仮面の女騎士がそこに居た。




