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第十六話:傲慢の粉砕と、繋がれた拳

単身で無茶に殴るだけだった生徒会長は、もういません。

背中を預け合える仲間たちが作った最高の舞台へ、アイラが魂を乗せた拳を叩き込みます!


ボロボロになりながらも笑い合い、誇りもデータもすべて奪還する生徒会。

戦いのあとの、リサとアイラのちょっと甘いやり取りにもご注目ください!


レオンが腰の細身の指揮剣を静かに引き抜くと、刀身に青白い雷光と氷結の二重魔力が走り、保管室全体の気温が急激に低下する。

「雑魚がいくら群れようと、所詮は烏合の衆。貴様らにエリートの真髄を見せてやる」

床を蹴った瞬間、目にも留まらぬ速度で私の懐へと踏み込んでくる。

レオンの指揮剣から繰り出される刺突は、物理的な鋭さだけでなく、軌道上に刃のような衝撃波を伴う複合剣技。

私は両腕の魔力甲冑で受け止めようとするが、衝撃波が腕の装甲を削り、火花が激しく散る。

「くっ……! はやっ……!」

かつての力任せな私なら正面から押し負けて吹き飛ばされていた威力を、最小限のステップで受け流すが、防戦一方に追い込まれる。

レオンは剣撃の合間に、左手で無詠唱の魔導術式を同時に展開する。

足元から氷の棘が突き上がり、頭上からは誘導雷球が降り注ぐ、一人で部隊規模の飽和攻撃を仕掛けてくる圧倒的スペックだ。

「どうした? 学級会ごっこの成果はその程度か、無能な首席!」

傲慢に言い放つレオンの猛攻により、私は徐々に部屋の隅へと押し込まれていく。

くっ……厳しい……かっ……

私が追い詰められた瞬間、タクトが間髪入れずに割り込み、杖を突き立てる。

「誰が無能ですか! 『三重偏向障壁トリプル・ディフレクション

頭上からの雷球を障壁の屈折面で弾き飛ばし、同時にリサの鋭い声が響く。

「会長! 予定通り、フェーズ2へ移行します!」

私は一人で耐えるのをやめ、不敵に笑って一歩下がり、仲間たちの陣形の中へと合流する。


タクトの障壁に雷球を弾かれながらも、レオンは微動だにせず冷笑を浮かべる。

「ほう、盾役が割り込んできたか。だが守りを固めたところで、貴様らの貧弱な出力では私の多重術式を削り切る術などない」

私だけを「倒すべき獲物」として認識し、後方の支援メンバーをただの雑兵と侮るレオン。

「僕たちをただのオマケ扱いしたこと、後悔させてあげますよ……実行!」

ノアのキー入力一閃、データ保管室の天井照明が一斉にショートして明滅し、換気口から高圧スモークが噴出する。

視界と魔力探知が乱れた一瞬の隙に、セナが影から飛び出し、敵の足元へ『魔力攪乱閃光弾』を複数投擲して炸裂させる。

「小細工を……っ!」

視界を奪われ苛立つレオンが指揮剣を一閃し、スモークを吹き飛ばそうと魔力を集中させた瞬間。

「そこです! ――『霜華縛鎖フロスト・バインド』!」

レオンの軸足を鋭い氷の鎖が床ごと縫い止め、剣を振るう重心を強引に奪う。

拘束を魔力で引きちぎろうとレオンが左手を掲げた瞬間、タクトが最小展開の『三重偏向障壁』をレオンの腕の振りの直前へピンポイントで滑り込ませ、術式の射線を天井へ弾き飛ばす。

完璧な時間差連携によって、レオンの体勢は完全に崩れ、胸元の防御魔術が剥ぎ取られた無防備な空白の「0.5秒」が生まれる。

仲間たちが繋いだ完璧なパスの先に、全魔力を右拳に凝縮させた私が鋭く踏み込んでいく。


ノアの視界妨害、セナの牽制、リサの足止め、タクトの射線逸らし。

仲間たちが命懸けでこじ開けてくれたわずか0.5秒の空白へ、私は床を爆砕させるような踏み込みで突撃する。

右拳に集中するのは、荒れ狂うような無駄な魔力放出ではなく、極限まで高密度に圧縮された黄金・琥珀色の光条。

(もう、一人で無茶に殴るだけの力じゃない。これは、みんながくれた一撃!)

初めて表情を歪め、屈辱と焦燥を露わにするレオン。

「この……落ちこぼれの集まりがァッ!」

拘束された足と狂わされた太刀筋のまま、残された全魔力を注ぎ込んで自らの前に三枚の『強化魔力障壁』を緊急展開する。

本来なら並の打撃魔法を完全に無効化するはずのエリートの鉄壁だ。

「ウチの仲間を……生徒会を舐めんなぁぁッ!!」

雄叫びと共に放たれた私の拳が、レオンの障壁へと直撃する。

パリンッ! パリンッ! パリィィィン!!

硝子が砕け散るような甲高い轟音と共に、レオンの展開した三層の障壁がわずか一瞬で粉々に粉砕される。

拳の先端に凝縮された『瞬間凝固打撃』の衝撃波が、レオンの胸元深くに直撃する。

ドゴォォォォンッ!!

レオンの身体が弾丸のように吹き飛び、保管室の分厚い防護壁へと深々とめり込む。

壁一面に放射状の亀裂が走り、立ち込める白煙。

手から滑り落ちた指揮剣がカランと乾いた音を立てて床を転がり、白目を剥いたレオンはそのまま壁から崩れ落ちて完全沈黙・戦闘不能となる。

轟音の余波が引いた保管室に、パラパラと壁の破片が落ちる音だけが響く。

壁にめり込んで動かなくなったレオンを見届け、私はゆっくりと拳を下ろして大きく息を吐き出す。

「はぁ……はぁ……っ、やった……!」

セナが素早く駆け寄り、中央の台座から銀色のアタッシュケースを無事に回収して抱きかかえる。

ノアが手元の端末を操作し、サーバー内の不正ログと学園に関する機密データを根こそぎ吸い上げる。

「データ吸い上げ完了、さらに鷲宮側のサーバーをクラッシュさせました。奪われたデータも、彼らが裏で引いていた糸の証拠も……すべてこちらの掌の上です」

緊張が解けたタクトがへたり込みそうになり、セリアが駆け寄って回復薬を手渡す。

リサがアイラの隣に歩み寄り、煤で汚れたアイラの頬をそっと指先で拭う。

「……見事でしたよ、生徒会長。ちっとも優雅ではありませんでしたが、満点のリベンジです」

「もう、一言余計!……でも、みんなのおかげ。本当にありがとう」

警報が鳴り響く前に、全員でアタッシュケースを掲げて拠点から脱出を図る。


瓦礫と屈辱を乗り越え、背中を預け合う「本物のチーム」となった6人が、朝の光が差し込む出口へと駆け出していく。

大きくなったねぇアイラ……

最後にちょっと趣味が出ましたが()

いいじゃん本編にちょっとくらい混ぜたって……


完全勝利を収めたアイラたち生徒会、ひとまず次回で一区切り……かな?

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