第十五話:裏口の侵入劇と、最奥の宿敵
奪われたデータと生徒会の誇りを取り戻すため、裏口からの電撃潜入作戦がスタート!
かつてアイラを苦しめた遅延術式を逆手に取り、見事な役割分担で敵の防衛網を突破していきます。
ひと皮むけた生徒会の痛快なリベンジマッチと、ラストに待ち受けるレオンとの緊張感あふれる対峙をお楽しみください!
朝霧が白く立ち込める旧市街の外れ、鷲宮高等学院・執行部が押さえている「臨時中継拠点」を見下ろす廃ビルの屋上。
冷たい朝の空気を吸い込みながら、装備と魔導具の最終確認を行う。
生徒会室を荒らされた悔しさを静かな闘志へと変え、全員の表情には引き締まった緊張感が漂う。
セリアが隈の残る目元を擦りながら、銀色の小瓶を一人ひとりに手渡す。
「徹夜の成果よ。鷲宮執行部が使う遅延結界の魔力波長を完全に分解する『反応中和薬』。これを叩きつければ、あの粘つく空間を一瞬で霧散させられるわ」
「ありがとうセリア! これであの鬱陶しい足止めにハメられる心配はないね」
セリアが自分の弱点を完璧にカバーしてくれたことに、私は心からの信頼を込めて頷く。
ノアが手元の端末に、鷲宮執行部の臨時拠点の立体魔力マップを投影する。
「正面ゲートには鷲宮特有の二重識別障壁があります。狙うは裏手の換気・魔力排出口。セナさんが内部に入り込み、バイパスを直結してくれれば、僕が遠隔で監視網と隔壁を掌握できます」
タクトが杖を軽く突き、淡い藍色の魔力膜で全員の気配と魔力反応を包み込む。
「中継拠点周囲の索敵網は、僕の『多層偏光結界』で誤魔化します。効果時間は約20分。その間に潜入を完了させましょう」
単身で無謀に突っ走っていた以前とは違い、全員の目を見て作戦の流れを再確認する。
「みんな、準備はいい? 私たちの居場所と誇りを取り返しにいくよ!」
セナが身軽に屋上から飛び降り、鷲宮執行部の拠点への潜入ミッションがスタートする。
タクトの隠密結界に紛れ、セナが影のように拠点の裏手へ滑り込む。
鷲宮高等学院・執行部の厳重な警備の盲点となっている「魔力排気シャフト」の狭いダクトへ、小柄な体を滑り込ませて侵入。
内部の赤外線・魔力センサーをアクロバティックな体術で軽やかに回避し、メイン制御盤の真上へ到達する。
セナはダクトの格子を静かに外し、端末チップを制御盤の主回線へカチリと直結。
「ノア、繋いだよ。あとは頼んだ!」
外で待機するノアが、高速でキーボードを叩き込む。
「アクセス成功……鷲宮のセキュリティプロトコルを解析中。……よし、監視カメラの映像を30秒前のループ映像に差し替えました。侵入警報システムも一時的に沈黙させます」
ノアの操作により、重厚な電子ロックが解除され、プシューと音を立てて裏口の搬入用ハッチが開く。
「裏口ルート、完全オープンです。……ただし、鷲宮執行部の定期巡回が来るまで残り7分。急いでください!」
セナが内部からハッチを開けて手招きし、外で待機していた私、リサ、タクトへ突入のサインを送る。
一人の力任せではなく、見事な役割分担で無血の侵入に成功。
私は頼もしい仲間たちの連携に口元を緩めつつ、リサと視線を交わして頷く。
「完璧。……さあ、乗り込むよ!」
武器と中和薬を構えた突入班が、鷲宮執行部の拠点内部へと足を踏み入れる。
拠点中央のメイン通路に踏み込んだアイラたち突入班の前に、巡回中の鷲宮執行部精鋭4名が立ちはだかる。
「侵入者!?……あの時の生徒会か! 遅延術式展開、前回の再現をしてやれ!」
執行部員たちが即座に杖を突き立て、私をハメたあの粘つく紫色の『深層遅延結界』が通路いっぱいに展開されようとする。
「フン、同じ手が二度通用すると思わないことね!」
私は突っ込まず、リサの合図でセナが背後から投擲したセリア特製の『反応中和薬』アンプルが、結界の中心点へ着弾して炸裂する。
バシュゥゥゥン! と青白い中和蒸気が広がり、展開しかけた遅延術式が魔力の結合を失って一瞬で霧散する。
「なっ……!? 術式の魔力配列をピンポイントで分解された……!?」
狼狽した敵前衛が魔力短剣を抜いて強襲を仕掛けるが、タクトが一歩前に出て杖を地面に叩きつける。
「僕の結界を舐めないでください! 『三重偏向障壁』!」
敵の斬撃と衝撃魔法がタクトの青い多層障壁に阻まれ、火花を散らして弾き返される。
隙が生まれた瞬間、後方からリサの研ぎ澄まされた冷徹な詠唱が放たれる。
「そこです。――『氷結拘束』」
敵の足元が瞬時に氷結し、エリート部隊の完璧なフットワークが完全に封じられる。
完全に体勢を崩した敵前衛に対し、私は最小限のステップで間合いを詰める。
大振りな力任せのパンチではなく、仲間が作ってくれた完璧な隙へ、的確に『瞬間凝固打撃』を撃ち込む。
ドッ、ドガァン!!
足止めされた執行部員たちのみぞおちへ正確無比な打撃がめり込み、壁際へと吹き飛んで気絶した。
力押しに頼らない「洗練されたチーム連携」で、鷲宮執行部の精鋭をわずか数十秒で完封する。
「ふぅ……ナイス連携! このまま最深部まで突っ走るわよ!」
前衛の迎撃部隊を突破したアイラ、リサ、タクト、セナは、拠点の最奥に位置する特級保安エリアへ到達する。
ノアの遠隔ハッキングにより、重々しい金属音と共に円形の大扉のロックが解除され、ゆっくりと開いていく。
部屋の中央には、奪われた銀色のアタッシュケースと、青白く脈動する大型データサーバーが鎮座している。
薄暗い保管室の中に、パチ、パチ、と嘲るような拍手の音が乾いて響く。
サーバーの前に立つのは、鷲宮高等学院・執行部隊長、レオン。
部下たちが無力化されたことなど気にも留めていない様子で、冷徹な双眸をアイラたちへ向ける。
「ネズミの群れが裏口から這い上がってきたか。……遅延術式を中和し、連携で前衛を崩すとはな。少しは学習したらしい」
かつての慢心も、さっきまでの絶望の涙もそこにはない。私は仲間たちと肩を並べ、レオンを真っ直ぐに見据えて拳を握り直す。
「奪ったデータを返してもらうわよ、レオン! それと……私たちの部屋を荒らしてくれた落とし前も、きっちり払わせる!」
背後でリサが魔導書を開き、タクトが障壁を展開可能な体勢を取り、セナが影へ滑り込む。
大丈夫、仲間全員の意志が私の背中を支えている。
レオンは薄く冷酷な笑みを浮かべ、腰の指揮剣の柄に手をかける。
部屋全体の空気が一瞬で氷点下に落ち込むような、圧倒的なプレッシャーが展開される。
「雑兵を蹴散らした程度で調子に乗るな。……ここが貴様ら生徒会の本当の処刑場だ」
私とレオンの魔力が衝突し、決戦の火花が切って落とされた。
強いんですよこいつら(n回目)
ただ、チート級に強くしちゃうとつまらないので前回のような挫折を挟んでもらいました。
でも挫折を味わっても立ち上がるのがヒーローじゃん?
そんなヒーローに彼らにはなって欲しいのです。
ちょっとシリアス疲れて閑話休題で変なの書いたけどな!!!!!!!!!!(気になる方は番外編をご覧ください)




