圧倒
同時攻撃。
それが、通じるはずだった。
龍が踏み込む。
かんたが側面から入る。
幸人が撃つ。
だが――
遅い。
悪魔の糸が、先に動く。
人形が滑り込む。
完全に、防がれる。
「……っ!」
龍が斬る。
人形が砕ける。
だが、その隙。
別の人形が、背後から来る。
「後ろだ!」
間に合わない。
衝撃。
龍の身体が弾かれる。
地面に叩きつけられる。
「ぐっ……!」
呼吸が止まる。
立てない。
その間にも。
かんたが突っ込む。
「まだだ!」
拳を振る。
人形を吹き飛ばす。
だが――
糸が絡む。
「っ!?」
腕を取られる。
引かれる。
無理やり引き寄せられる。
次の瞬間。
別の人形が叩き込む。
直撃。
「……っは!」
吹き飛ぶ。
転がる。
止まらない。
幸人が矢を放つ。
連続で。
だが――
全部、弾かれる。
人形が割り込む。
角度を変える。
だが、無駄。
「……読まれてる」
幸人が言う。
その瞬間。
空気が切れる。
横から、人形。
見えない角度。
回避が遅れる。
肩に直撃。
弓が落ちる。
「……っ!」
体勢が崩れる。
次が来る。
龍が無理やり立つ。
割り込む。
斬る。
だが――
遅い。
人形が、さらに来る。
三方向。
同時。
受けきれない。
全員、吹き飛ぶ。
地面に倒れる。
動けない。
「……くそ……」
かんたが言う。
立てない。
身体が重い。
龍も同じだった。
剣を握る手が、震える。
幸人は、起き上がれない。
悪魔は、上にいる。
何も変わっていない。
無傷。
ただ見ている。
糸が、ゆっくり動く。
次を準備している。
「……勝てねえ」
かんたが言う。
誰も否定しない。
事実だった。
そのとき。
龍が、ゆっくり顔を上げる。
「……いや」
低く言う。
「違う」
息を整える。
視線は、上。
悪魔ではない。
その“糸”を見る。
「……見えてる」
幸人が、かすかに言う。
かんたが眉をひそめる。
「何がだよ……」
龍が答える。
「弱点だ」
悪魔は、まだ余裕だ。
だが――
三人は、まだ終わっていなかった。




