悪魔
悪魔は、浮いている。
高い位置。
手は動かない。
だが、糸が動く。
その先――
人間。
いや、人形。
同時に動く。
「来るぞ!」
龍が踏み込む。
一体を斬る。
崩れる。
だが、止まらない。
糸が引く。
無理やり起き上がる。
「……完全に操りか」
幸人が言う。
矢を放つ。
本体へ。
その瞬間。
人形が割り込む。
矢が突き刺さる。
止まる。
「……盾にしてる」
「しかも判断が速い」
龍が言う。
次の瞬間。
悪魔が、上昇する。
さらに距離を取る。
「届かねえ!」
かんたが叫ぶ。
人形が突っ込んでくる。
三体。
同時。
龍が受ける。
かんたが横から殴る。
幸人が撃つ。
だが――
終わらない。
数が減らない。
「……キリがねえな」
かんたが言う。
「人形は無視だ」
龍が言う。
「本体だけ狙う」
「無理だろ!」
かんたが叫ぶ。
「盾にされる!」
「……だから、同時だ」
幸人が言う。
龍が見る。
「どういうことだ」
「一方向じゃ足りない」
幸人が矢を構える。
「同時に複数方向から撃つ」
龍が理解する。
「処理しきれなくするってことか」
「そうだ」
かんたが笑う。
「やっと面白くなってきたな」
配置が変わる。
龍が正面。
かんたが側面。
幸人が後方。
「行くぞ」
龍が踏み込む。
人形が来る。
無視。
突っ込む。
その瞬間。
かんたが別方向から突っ込む。
「うおらぁ!」
人形が分かれる。
どっちを止めるか。
その一瞬。
幸人の矢が飛ぶ。
本体へ。
直線。
速い。
だが――
人形が間に入る。
防がれる。
「……まだ足りねえか」
幸人が言う。
悪魔がさらに上昇する。
距離が開く。
「……いや」
龍が言う。
「今ので分かった」
「何がだよ」
かんたが言う。
「反応は速い。
だが、完璧じゃない」
幸人が頷く。
「処理に“順番”がある」
つまり――
「詰めれば崩れる」
龍が言う。
戦い方が決まる。
悪魔は、まだ余裕がある。
だが――
攻略は、始まっていた。




