分断
広間は、静かだった。
中央の台。
何もない。
だが、何かがある。
龍が一歩踏み出す。
その瞬間。
床が、光った。
「――っ!?」
視界が歪む。
空間が捻じれる。
足場が消える。
落ちる感覚。
そして――
静寂。
龍は、立っていた。
別の場所に。
「……分断か」
短く言う。
周囲は狭い通路。
前後しかない。
振り返る。
誰もいない。
龍は剣を構える。
「来い」
進む。
足元。
音。
“カチッ”
反応。
すぐに踏み切る。
横に飛ぶ。
壁から刃が突き出る。
「……単純だな」
避ける。
読む。
進む。
龍は止まらない。
――
幸人は、別の空間にいた。
広い。
だが、柱が多い。
視界が遮られる。
「……狙撃向きじゃねえな」
弓を構える。
音。
遠くから、風切り音。
矢。
飛んでくる。
「……そう来るか」
避ける。
柱の影へ。
次の矢。
角度が違う。
「複数か」
人はいない。
だが、撃たれている。
罠。
方向を読む。
音を聞く。
発射位置を推測する。
矢を放つ。
壁に当たる。
だが、その奥。
何かが壊れる音。
飛んでくる矢が、止まる。
「……これで一つ」
幸人は移動する。
位置を変える。
撃たれる前に、壊す。
それだけだった。
――
かんたは、転がっていた。
「いっ……てぇ……」
起き上がる。
足元が滑る。
地面が、傾いている。
「……なんだこれ」
一歩踏む。
滑る。
止まらない。
「うおっ!?」
そのまま、下へ。
滑り落ちる。
坂。
長い。
止まれない。
その先。
壁。
「ちょ、待て――!」
ぶつかる。
直前で、身体をひねる。
衝撃を逃がす。
「……っはぁ……」
息を吐く。
だが、止まれない。
地面が動く。
今度は、横。
「なんだよこれ!!」
足場が不安定。
バランスを取る。
崩れる。
立て直す。
「……落ち着け、落ち着け俺」
深呼吸。
足元を見る。
傾き。
重心。
「……これ、逆らうな」
流れに合わせる。
動きを合わせる。
無理に止まらない。
滑る。
だが、転ばない。
制御する。
やがて――
平らになる。
「……はぁ……」
立つ。
ようやく止まる。
「……なんとかなるもんだな」
周囲を見る。
出口がある。
進む。
――
三人は、それぞれ進んでいた。
別々に。
だが、同じ場所へ。
遺跡は、まだ終わらない。




