密林
対岸の先は、すぐに変わった。
乾いている。
地面が、砂に変わる。
「……砂漠か」
龍が言う。
見渡す限り、何もない。
影もない。
熱が、じわじわと上がる。
「……ここ、行くのか?」
かんたが顔をしかめる。
「いや」
力嶽が首を振る。
「水も少ない。
長く持たん」
「迂回する」
龍が言う。
砂漠の縁をなぞるように進む。
時間はかかる。
だが、確実だ。
やがて、景色がまた変わる。
緑。
密集した木。
「……ジャングルかよ」
かんたが呟く。
中は暗い。
湿っている。
だが、水はある。
「入る」
龍が言う。
全員が踏み込む。
すぐに分かった。
地面が、重い。
「……泥だらけだな」
幸人が言う。
一歩進むごとに、足が沈む。
動きが鈍る。
音も出る。
「最悪だなこれ」
かんたが言う。
そのときだった。
――音。
風を切る音。
「伏せろ!」
龍が叫ぶ。
次の瞬間。
石が飛んできた。
横をかすめる。
木に当たる。
砕ける。
「……っ、来たぞ!」
かんたが叫ぶ。
さらに来る。
岩。
石。
方向がバラバラだ。
「盗賊か!?」
「違う」
幸人が言う。
「気配がない」
確かに。
人の気配がない。
だが、攻撃は続く。
龍は周囲を見る。
木の間。
影。
そして――
「……あれか」
前方に、何かが見えた。
石の構造物。
崩れているが、形は残っている。
「遺跡だな」
力嶽が言う。
次の瞬間。
足元が、わずかに沈む。
「止まれ!」
龍が叫ぶ。
遅い。
踏んでいる。
直後、
横から岩が飛ぶ。
罠だ。
「……踏んだら発動するタイプか」
幸人が言う。
「しかも範囲広いな」
かんたが顔をしかめる。
遺跡の周囲一帯が、
罠の範囲になっている。
「……入るか」
龍が言う。
「外からじゃ進めねえ」
力嶽が頷く。
「中の方が安全な可能性がある」
「可能性って」
「外は確実に危険だ」
それで十分だった。
踏む位置を選ぶ。
慎重に。
一歩ずつ進む。
それでも、発動する。
石が飛ぶ。
避ける。
受ける。
進む。
やがて――
入口に辿り着く。
暗い。
内部は見えない。
「……行くぞ」
龍が言う。
誰も止めない。
そのまま、中へ踏み込む。
外の音が消える。
湿った空気。
冷たい石。
そして――
静けさ。
遺跡の中は、
別の危険を抱えていた。




