表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The-Dragons  作者: イグアナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/54

対岸

 川は、流れていた。


 さっきまでの異常は、どこにもない。


 ただの水。


 ただの流れ。


「……渡るぞ」


 龍が言う。


 誰も反対しない。


 もう一度、船を押し出す。


 水に乗る。


 流れは強いが、さっきよりも“普通”だった。


 音がある。


 波がある。


 それだけで、違う。


「……さっきのと全然違うな」


 かんたが言う。


「あっちは静かすぎた」


 幸人が答える。


 進む。


 揺れる。


 だが、崩れない。


 時間はかかる。


 それでも、確実に対岸が近づく。


 やがて――


 土を踏む。


 固い地面。


 流されない場所。


「……着いたな」


 龍が言う。


 全員が、川から離れる。


 振り返る。


 ただの川だ。


 何も起きていない。


「……あれ、何だったんだ」


 かんたが呟く。


 沈黙。


 力嶽が口を開く。


「推測だ」


 前置きする。


「ドラゴンの能力だ」


 短い言葉。


「空間ごと、引き込む」


「……あいつの?」


 かんたが言う。


「おそらくな」


 力嶽は川を見る。


「水の中でしか成立しない領域だった」


 龍は目を細める。


「だから、水に入った瞬間に移動した」


「そして、倒したら崩れた」


 幸人が続ける。


 辻褄は合う。


 だが――


「……ルビーは?」


 かんたが言う。


 沈黙。


 力嶽が答える。


「沈んだ」


「は?」


「領域の中の海底だ」


 淡々とした声。


「戻ってこない」


 かんたが顔をしかめる。


「せっかく倒したのに?」


「そういうものだ」


 力嶽は言う。


「取りに行ける場所じゃない」


 龍は川を見る。


 流れは、ただ流れているだけだ。


 あの空間は、もうない。


 入る手段もない。


「……無駄だったか?」


 かんたが言う。


「いや」


 龍は首を振る。


「違う」


 短い否定。


「倒した」


 それだけだった。


 幸人も頷く。


「唯一種は消えた」


「それで十分だ」


 かんたは少し黙り、

 やがて息を吐いた。


「……まあ、生きてるしな」


 力嶽は何も言わない。


 ただ、前を見る。


 対岸の先。


 まだ続く道。


 獣のドラゴンは、先にいる。


 止まる理由はない。


「行くぞ」


 龍が言う。


 全員が、前に進んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ