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The-Dragons  作者: イグアナ


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32/54

水面

 前に進んだ先で、止まった。


 道が、途切れていた。


 川だった。


 幅が広い。

 対岸が遠い。


「……でけえな」


 かんたが呟く。


 流れも速い。

 歩いて渡れる距離じゃない。


「回るか?」


 幸人が言う。


「無理だ」


 力嶽が即答した。


「どこまで続いてるか分からん」


 龍は川を見下ろす。


「渡るしかない」


 沈黙。


「……泳ぐ?」


「死ぬぞ」


 幸人が言う。


 流れが強すぎる。


「なら」


 龍が言った。


「作る」


 まただった。


「……今度は何だよ」


 かんたが顔をしかめる。


「浮くものだ」


 力嶽が答える。


「乗って、流されない形」


「……船か」


 試作が始まった。


 木を集める。

 削る。

 組む。


 浮かべる。


 沈む。


「沈んだ!」


「軽くしろ」


 やり直す。


 組み直す。


 束ねる。


 固定する。


 再び水に入れる。


 浮いた。


「……いけるな」


 完全ではない。

 だが、沈まない。


 乗る。


 揺れる。


「怖えなこれ」


「黙ってろ」


 押し出す。


 水に乗る。


 流れる。


 進む。


 対岸は、まだ遠い。


 そのときだった。


 水面が、歪んだ。


「……止まれ」


 幸人が言う。


 遅かった。


 渦ができる。


 小さい。


 だが、速い。


 船が引かれる。


「離れろ!」


 龍が叫ぶ。


 間に合わない。


 水が回る。


 引き込まれる。


 視界が歪む。


 音が消える。


 身体が浮く。


 落ちる。


 ――


 次に目を開けたとき、

 空があった。


 青い。


 だが、水の匂いがする。


「……ここ」


 かんたが起き上がる。


 足元は、固い。


 狭い。


 周囲を見る。


 水だ。


 どこまでも続く。


 海のような広がり。


 だが、波はない。


 静かすぎる。


 自分たちは、

 小さな陸地の上にいた。


 人一人が立てる程度。


「……なんだこれ」


 龍が立ち上がる。


 周囲にも、同じものが見える。


 小さな陸地。


 点々と浮かんでいる。


 距離は、微妙に離れている。


 跳べば届くかどうか。


「川じゃないな、もう」


 幸人が言う。


 力嶽は、黙っていた。


 空を見ている。


 そして、水面を見る。


「……外じゃない」


 低く言った。


「内側だ」


 意味は分からない。


 だが、理解はできた。


 ここは、

 元の場所じゃない。


 戻る方法も、分からない。


 かんたが、足元を見た。


「……落ちたらどうなる」


 誰も答えなかった。


 水面は、静かすぎた。

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