再会
動いた。
運搬台は、確かに機能していた。
軋む音。
木が回る音。
それでも、前に進む。
「……重いな」
かんたが紐を引きながら言う。
「止まるな」
龍が前を向いたまま言う。
平野を抜け、少しずつ地形が変わる。
視界はまだ開けている。
だが、そのときだった。
音がした。
低い。
擦れるような音。
全員、止まる。
「……来るな」
幸人が言う。
名前は来ない。
原生種。
だが――
数が、多い。
草の中から、影が現れる。
一体。
二体。
三体。
まだ増える。
「囲まれるぞ」
龍が言う。
運搬台は、動かせば音が出る。
止めれば、狙われる。
「どうする」
かんたが言う。
「捨てるか?」
「いや」
龍は首を振る。
「守る」
短い言葉。
力嶽が、わずかに位置を変える。
「数は任せろ。
時間を稼げ」
原生種が動いた。
一斉に来る。
龍が前に出る。
一体、斬る。
感触は軽い。
だが、次がすぐ来る。
幸人の矢が飛ぶ。
正確に、確実に。
だが、減らしきれない。
「……多すぎる!」
かんたが叫ぶ。
一体が、運搬台に飛びかかる。
「触らせるな!」
龍が間に入る。
弾く。
押し返す。
だが、別方向からもう一体。
かんたが突っ込む。
「来んなって!」
なんとか弾く。
体勢が崩れる。
その瞬間、背後から影。
「危な――」
幸人の矢が、それを貫く。
「遅い」
「うるせえ!」
戦いは、激しくはない。
だが、休めない。
数で押される。
じわじわ削られる。
龍は、息を整えながら言う。
「……減らして、抜けるぞ」
全員が理解する。
長引けば終わる。
短く、確実に。
力嶽が前に出る。
一撃。
二体、同時に倒れる。
流れが変わる。
「今だ、行くぞ!」
龍が叫ぶ。
運搬台を引く。
走る。
押す。
原生種が追う。
だが、距離が開く。
完全には振り切れない。
それでも――
「……抜けたな」
幸人が言う。
背後の気配が、遠ざかる。
止まる。
息を整える。
「……久々だな、これ」
かんたが地面に座る。
「感覚、戻ってきたか?」
龍が聞く。
「……ちょっとだけな」
力嶽は何も言わない。
ただ、前を見ている。
ドラゴンは、まだいる。
戦いは、続いている。




