再起
朝。
平野は静かだった。
だが、空気は変わっている。
「動け」
力嶽の一言。
「……起きて早々それ?」
かんたが言う。
「三週間寝てた」
「うっ」
言い返せない。
「取り戻せ」
それだけだった。
最初は走り。
ただ走るだけ。
だが、身体がついてこない。
「はっ……はっ……」
数分で、呼吸が崩れる。
足が重い。
感覚がズレている。
「止まるな」
力嶽の声。
かんたは無理やり足を動かす。
転ぶ。
立つ。
また転ぶ。
「……無理だって!」
「無理じゃない」
即答。
「遅れてるだけだ」
昼。
次は回避。
幸人が矢を放つ。
「避けろ」
「は!?」
一直線に飛んでくる。
かんたは慌てて横に飛ぶ。
間に合わない。
腕にかすめる。
「痛っ!」
「遅い」
幸人は次の矢を構える。
「次」
「待て待て待て!」
連続で来る。
かんたは転がるように避ける。
だが、全部は避けられない。
「……なんで俺だけこれ!?」
「一番遅いからだ」
龍が言う。
夕方。
次は近接。
龍が前に立つ。
「来い」
「絶対勝てねえやつじゃん」
「来い」
仕方なく踏み込む。
一瞬。
視界が回る。
気づいたときには、地面だった。
「……は?」
「終わり」
「早すぎだろ!?」
何度やっても同じだった。
踏み込む。
崩される。
叩きつけられる。
繰り返し。
夜。
かんたはその場に倒れていた。
「……無理だ」
「まだだ」
力嶽が言う。
「身体は戻る」
「……いつ」
「やればな」
かんたは空を見上げる。
星が出ている。
「……三週間って、でかいな」
「当たり前だ」
龍が横に座る。
「だが、戻る」
短い言葉。
かんたは目を閉じる。
「……やるしかねえか」
次の日も、同じだった。
そしてその次も。
止まることは、許されなかった。




