【 第7話:終わりの始まり、そして空虚な勝利 】
これまで絶対の権力として君臨してきた
巨大エンタメ企業の汚泥が白日の下に晒され、
ネットワークの海は阿鼻叫喚の嵐と化した。
「王座量産の方程式」と呼ばれた鉄壁のシステムは、
自らがバラまいたデジタルタールによって内側から焼き尽くされ、
アルカディアの独占体制は音を立てて崩壊へと向かっていった。
【 サーバーの全公開と崩壊する帝国 】
波多野が仕掛けた最終バックドアが作動した瞬間、アルカディア社のメインサーバーに蓄積されていたすべての不正操作ログ、ランキングの裏操作データ、そして作家からの搾取構造の全容が、インターネット上のあらゆるプラットフォームへ一斉に同期・全公開された。
これまで絶対の権力として君臨してきた巨大エンタメ企業の汚泥が白日の下に晒され、SNSや掲示板は阿鼻叫喚の嵐と化した。株価は一瞬でストップ安まで急落し、スポンサーは次々と撤退を表明する。かつて神崎が築き上げた「王座量産の方程式」は、自らがバラまいたデジタルタールによって内側から焼き尽くされ、アルカディア・メディアワークスはわずか数時間で破産へと追い込まれていった。
【 敗者たちの退場 】
港区の超高層ビル最上階、かつての特設フロア。青白いモニターの光はすべて消え失せ、高級なアロマの匂いだけが空虚に残された部屋で、神崎は床に崩れ落ちるように膝をついていた。彼の目の前には、文字通り「すべてを失った」ことを告げる無機質な破産通知の画面がぽつんと光っている。法的な追及と業界からの永久追放を免れないその姿に、かつての優雅な面影は微塵もなかった。
一方、新興スタジオのプロデューサー・鬼頭は、荒れ狂う業界のトレンドマップを眺めながら不敵な笑みを浮かべていた。アルカディアという巨象が倒れたことで、WEB小説界のマネーゲームは完全にリセットされ、誰もが予測しなかった全く新しい混沌の荒野へと放り出されていた。
【 ノートを閉じる男 】
喧騒から遠く離れた、都営大江戸線の駅から歩いて十分の古びた雑居ビル。その地下二階の蛍光灯だけが、相変わらず白々しい光を放ち続けていた。
波多野の目の前にある使い古されたノートパソコンの画面では、かつて世界を狂わせたエラーログの奔流が、ようやく静まり返ろうとしていた。デスクの上には、飲み干した缶コーヒーの空き缶が相変わらず無造作に転がっている。
すべてを焼き尽くし、業界の仕組みそのものを根底からひっくり返した男は、深い溜息とともにノートパソコンをパタンと閉じた。乾いた音が静まり返った地下室に響く。波多野はコートを羽織ると、振り返ることもなく、静かにその場を去っていった。
アルカディア・メディアワークスの崩壊と主席プロデューサー・神崎の失脚により、
WEB小説界のマネーゲームは完全にその姿を消した。
莫大な資金力とアルゴリズムの力でランキングを支配していた巨大な城塞は消え去り、
跡形もなく焼け落ちた荒野のようだった。
明日も、19:30 に、投稿します。
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