フリードリヒ フォン アイゼンヴァルト
「魔女は悪魔じゃないですよ(笑)だから、殺せば死にます(笑)私の目的はそこにあります。もちろん、生きてるに越したことはないです…」
そういう、アイゼンヴァルトの顔はにこやかだった。
それが、パトリックには気持ち悪かった。
自分も同じ仕事をしてきたはずなのに、なぜか。
それは、相手が彼女、エルザ フォン ローゼンシュタインだからか。
ミイラ取りがミイラになる。
それは、自分にも当てはまる。
彼女が、若き兵士の頃にみた、あの呪術師だとわかってからなおさらだった。
神にさえ思えた。
それに近いものを感じていた。
それを、ただのテロリストとして消し去っていいのか。
社会、国家のことを考えれば、それは正解だ。
アイゼンヴァルトはそのためにここに来た。
だが…
こんなやつに、やられるのか…
そんな風にさえ感じている自分が、いったいどこに立てばいいのかわからなかった。
「私は、対テロ作戦を経験してきました。私の資料は目を通したんでしょ(笑)」
彼は共和派のテロを封じ込めるために、王政派の一員として、共和派のテロを力で抑え込んでいたことがある。
パトリックの共和国でも、当然、彼のことは調べてある。
そのやり方は、冷酷だった。
テロに関係あれば、容赦なく拘束して、拷問の疑惑さえかかっていた。
組織内でも、そのせいか、評判が良くなかった。
それが、今は、その徹底的に弾圧してきた共和派の、共和国の秘密警察とは。
だが、彼は、殺し屋として、共和国の秘密警察に存在している。
重要だが、責任者ではない。
王政が倒れた時に、死刑になってもおかしくなかったはずなのに。
それをいろいろ考えると、ますます、彼の存在が嫌なものとしかみれない。
パトリックは、彼がエルザを拘束するか、殺すか。
その補助と支援をする任務だった。
「こちらも、オコンネルさんのことは調べさせていただきました。」
彼はそう言って、ニヤリとした。
パトリックは背中がゾクッとした。
彼のその言葉は、お前のことは知っているぞ…隠し事はできない…といっていた。
「あなたは、対象に深く関わってきた。それが、今回の私の任務に役に立つと思います。まあ…だから、あなたは、未だに成果を上げられていない…ですが、今回は私が、やりますから(笑)」
「特別にいいものを用意しました。いい策ですよ。餌を用意しましょう。その餌に飛び込んだところを…バン!」
彼の指がパトリックの頭を撃ち抜いていた。
「そんなにうまくいきますかね…」
彼の手をゆっくりはらいのけた。
「彼女の力は部隊を沈黙させることもできます…」
「ですから、餌と言いましたよ(笑)餌に食いついたところを…おっと、これ以上は内緒にしときますね(笑)」
パトリックにははっきりわかった。
信用されていない…
今回のこの措置は内務省の担当だ。
軍も協力する。
上からの命令はアイゼンヴァルトが成果を上げられるようにすることが今回の任務だとだけ。
つまり、俺にあいつの面倒をみろということか…
彼等は傭兵という建前だ。
だが、実質は、パトリックは見てるだけ。
現場では指揮はアイゼンヴァルトが執る。
アイゼンヴァルトからは自分がエルザに近い存在だと見なしているということがはっきりわかった。
作戦の詳細を説明しないとはそういうことだ。
なにか嫌なものを感じていた。




