表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/71

説得

「ルートヴィヒ フォン ヴァルテック大佐!イルマ クロイツァー少尉!」


谷間に声が響いた。

補給隊は臨戦態勢をとった。


「戦う意思はない!話がしたいだけだ!二人だけでついてきてほしい!」


二人は顔をみあわせていた。

「エルザじゃないですか?あれは…」


声しか聞こえない。

その相手がエルザであると二人は直感していた。

「エルザか?」

大佐が声を張り上げて聞いた。

「くればわかる!」

その声はそれだけで終わってしまった。


「ちょっと待ってください!」


パトリックはそういうと指揮官に相談するため走っていった。

「行動を制限することはできないそうです。自分達の安全は自分達でならということです。」


パトリックの返事に二人は行くことを決めた。

二人は自分達だけで先へ進んだ。

二人がしばらく進むと、崖の途中に人影が見えてきた。

その人影が崖を降りて二人に近づいてきた。

その人影の人物は二人の前に出てきた。

黒いマントは砂ですっかり汚れていた。

これもすっかり薄汚れて破れている帽子の鍔の奥から赤黒い瞳が二人をみていた。


「エルザ!」


イルマが押し殺したようなに名前を呼んだ。

それ以上は言葉が出てなかった。

唇をかみしめていた。

少し震えていた。


大佐はイルマの様子を見て、話始めた。


「エルザだな!元気か!」


相変わらず大佐は親しげに声をかけた。


「久しぶりだな、さあ、もういいだろう…みんな待ってるぞ!」


大佐は笑みを浮かべていた。


「エルザはお前達に話たいことがあるそうだ!」


大佐の顔が一瞬こわばった。


「変な言い方するじゃないか!エルザなんだろ!変だぞ!」


「まあ、いい…さあ、話せ…」


「伯爵様はお元気ですか?ルーカスやみんなも…」


「あ…みんな元気だ…だから」


「お願いがあります…」


「なんだ?なんでも言ってくれ!」


大佐は平静に話しではいたが、どこか違和感があって、緊張は解けなかった。

最悪のことを考えると…


「戦うのやめてもらえませんか…無理なお願いはわかっています…せめて話し合いを…BLACKWOLFは生きたいと言ってました…部族がこの先どうなるのか見届けたいと…そして、子供達に自分達のことを伝えたいと…」


エルザは必死だった。

これが最後のチャンス…

そう思ったからだ。


「わかっているとは思うが、私達にその権限はない…」


エルザが落胆するのが大佐には辛かった。


「大佐、私からもお願いします…」


イルマはもし願いをかなえたらエルザが帰ってきてくれるのではと思った。


「わかった…だが、保証はできない…それでいいか…」


「それでもいい…」


「それで…今後だが…」


大佐にもこれが最後のチャンスに思えた。エルザを連れ帰る。できるだけ、接触する時間を増やす。

機会をとらえて…

そのためまた話し合いをすることを考えた。


「どうやったらまた会えるのかな?会わないと連絡しようがないんだが…」


「結論が出たらまた、ここに来てください…」


「こっちの都合で来ても確実に会えるのかな?」


「大丈夫です。わかります。」


大佐はこれ以上はエルザを引き留めるのは無理かと感じ了解した。


二人は隊に戻り、部隊は再び動き出した。

イルマは黙ったままだった。

大佐にはわかっていた。

イルマは無理やりでもエルザを連れ帰りたかった。

それは大佐も同じだった。

イルマの目は赤くなっていた。

イルマはライフルの先端に銃剣を取り付けそこに伯爵家の旗をつけた。

ライフルをわざとこれみよがしに高く抱えていた。

エルザは崖の上でそれをみていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ