51.てんこうせいの好感度が、いつの間にかカンストしてた件②
ちなみに、今回は珍しく、登場人物に名前があります。
私は、皇鏡華。大企業の社長を父に持つ、いわゆる“令嬢”と呼ばれる立場の人間です。
4月9日。今日から、私は黎明高校に通うことになりました……いえ、通うことにしたというのが正しいでしょうか。
「よーし、みんな席に着いてるな~。それじゃ、HRを始め……る前に転校生の紹介をする」
担任の椋林先生の声を合図に、私は教室へと足を踏み入れました。
そして――見つけました。あの方を。
……秀さん。私のこと、覚えているでしょうか。
軽く会釈し、当たり障りのない自己紹介を終えると、先生が呆れたような声を上げました。
「……ん? もう終わったのか? じゃあ何か鏡華に質問があったら今のうちに聞いてけ~」
どうやら少し簡潔すぎたらしいです。そんな中、男子生徒のひとりが手を挙げられました。
「鏡華ちゃんは~彼氏とかいるんですか~?」
その問いに、胸の奥がざわりと震えました。
もし、秀さんが振り向いてくれなかったら――。
そんな不安が、喉元までせり上がってきました。
……ですが。
私は既に決めているのです。絶対に、あの方に想いを届けると。
「いませんよ。……でも、好きな人はいます」
そう答えた瞬間、なぜか秀さんが机に顔を押し付けてしまいました。
えっ、どうしたんですか? 体調でも……?
――はっ!
ひらめきました。これはむしろチャンスなのでは?
名付けて……
『心配することによって、あの方と会話をして距離を近づけよう大作戦
2023年春~淡き恋の色は桜のごと~』
……ふふん。我ながら、ネーミングセンスが冴えわたっていますね!
では、作戦開始です。
コツ、コツ、コツ――
秀さんの席の前まで歩いていきます。
近づくにつれ、何故か秀さんはあたふたし始めました。
ま、まさか……覚えていてくれたのでは!? ……と思ったのですが。
「え、えっと、きょんにちは!!」
……覚えていませんね、これは。
意外と、人と話すのが苦手なタイプなのかもしれません。もっとクールで落ち着いた人だと思っていたけれど、この様子……なんだか可愛いですね。
その焦る姿を見ていたら、こちらの方が落ち着いてしまいました。
――だから、伝えましょう。
「でも、私はそんなあなたが大好きです」
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