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「はーん。暢気なもんだ。罪を犯した人間の掃きだめのくせによ。お前もそう思うだろ?」
蟹の『神成』が破壊していた工場棟の隣。べつの品目を生産している棟の屋上に二人の男が立っていた。
口を開いたのはエスニック調なファッションに身を包んだ金髪の男。襟まで伸ばしたボサボサな髪の毛を外に向けてハネさせていた。鷹のような鋭い目で南部たちの戦いを見ていた。
「はい」
その隣で、短く、感情を与えられない人工知能のような発音でもう一人の男が答える。いや、男と呼ぶにはだいぶ若い隣に立つ男に比べて二回りほどの年齢差があった。金髪の派手な男は二十代中半。対する少年は中学生くらいだろう。親に大事に育てられてきたお坊ちゃんのような垢抜けない見た目が余計に若く見せるのかもしれない。
「おい!」
「グイ」と。
男は背後に立つ少年に身体を向けると、その頬を片手で掴んだ。
「『申』が勝手に頷くなって言ってるよな?」
顔を近づけて凄む男。少年はその視線から逃げることなく真っ直ぐ目を合わせ続ける。何も言わず、感情すらを表に出さない。
男が求めているのはそう言う人間だと理解しているから。
沈黙を守り続ける少年に満足そうに頷き、『神成』との戦いを終えた南部達を見つめる。
「……さてと。じゃあ、俺は面倒くさい『申』の始末に向かうかな」




