表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/66

Prologue  パリ—— 鈴とギターの朝

Season2が始まります。


パリの朝。

小さな日常の中で、

翠とエリーの音は少しずつ形を変えていきます。


けれど、この物語はここからもう一つの街へ向かいます。

音楽の都、ウィーン。

新しい場所で、二人の旋律がどんな音を見つけるのか。

静かに見守っていただけたら嬉しいです。


鈴のような、小さな音が聞こえた。


翠は窓を開ける。


パリ——サンジェルマン・デ・プレ。

まだ柔らかい朝の空気。


この街には、家族がいる。


幼い頃の足音も、

まだ石畳に残っている。


けれど今は、

ただ一人の人のための街だった。


ふと、翠はスマートフォンを開く。


ペットカメラ。


画面の向こうで、

白い小さな子猫が歩いている。


スコティッシュフォールドの長毛。

名前はシュガー。


親猫の尻尾に顔をこすりつけながら、

ちょこちょこと後を追っている。


ときどき、尻尾にじゃれつく。


翠は小さく呟く。


「シュガー……」


指でそっと画面をなぞる。


昨日届いていたメッセージが

まだ残っていた。


——だいぶ慣れてきたよ。

——親猫とも仲良くしてるから安心してね。


翠は少し笑う。


スマートフォンを置く。


その時。


リビングから、

静かなギターの音が聞こえてくる。


単調な音の連なり。


基礎練習。


エリーの音だ。


どれだけ有名になっても、

この練習だけは欠かさない。


翠はその音に耳を傾け、

そっとピアノの前に座る。


エリーの単純なフレーズに、

少しだけ色を置く。


水が光を受けるように。

風が空へ上がるように。


音が広がる。


リビングの向こうで、

エリーが振り向く。


そして、笑う。


その基礎練習は、

もうただの練習ではなくなっていた。


自由に羽ばたく、

新しい朝の音になる。


どこか遠くで、

シュガーの鈴がもう一度鳴った。


新しい朝の旋律が、

ここからはじまる。


Une nouvelle mélodie

commence à l’aube.



Season2のプロローグを読んでくださり、

ありがとうございます。


ここから、エリーと翠の音は

余白の中でゆっくりと形を変えていきます。


言葉にならない感情や、

触れそうで触れない距離。


その静かな官能を、

これからも二人は音で紡いでいきます。

そっと見守っていただけたら嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ